ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]
個人的な話から入るが、亡くなった友人からかつて三島由紀夫の『豊饒の海』の話を聞いたことがある。友人によると『豊饒の海』は「物語(ストーリー)の歴史(ヒストリー)を描きつつ、その解体を目指した」。要約するとそうなのだが、読んでいない人には何のことやら?だろう。実際に自分も後で読んだことはあるがそうだったし、現在ではその内容もほとんど覚えていない。
しかしその時、そうならば三島由紀夫は新たな「歴史(ヒストリー)としての物語(ストーリー)」を構築しようと考えたのではないのか?それが『美しい星』ではないのか?そんなことを『美しい星』を観て思い出した。純文学よりSF小説を好んで読んでいる自分としては嗜みとして『美しい星』は読んでいたから。
『美しい星』は結構に変な小説だ。物語と登場人物の葛藤を自分なりの文体で展開する通俗とは違って純文学はその作家の情念を他が真似のできない文体で展開する違いは理解していても、やっぱり変だ。シュールと言い換えても良いかもしれない。
そして映画では小説と違い大きな変更点が二つある。ひとつは核戦争の恐怖を環境問題に変えたこと、そしてアレだ……そこで映画は原作から何を抜き取ったのか?
ここでは自分の思い出を基にして、その部分と映画の感想を書いてみたいと思います。
ここから先はネタバレになります。映画を観ていない方にはおススメできません。
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