えいざつき ~映画と世情と日常と~

何かの感想というよりも、それで思い出した事を書きます。映画、SFが多めです。そして、たまに妄想が暴走します。

『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』と『レッドパージ・ハリウッド』の駄文

ここでは題名を恣意的に表記します。[敬称略][修正有]

今さらながら『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』に関連した事を書きます。
 
トランボ ハリウッドに最も嫌われた男 : 作品情報 - 映画.com 


どうしてか?といえば、この映画を観た後にある本を思い出したからです。



レッドパージを受けたハリウッド映画人の様々な模様を論評している本ですが、別の視点からみると、この映画の主人公のトランボのようにハリウッドから追放されても映画の仕事についていたいわゆる「どっこい生きていた」人々を書いた本でもあります。

今回はこれを基にして実話と映画『トランボ』との違いをふたつ書いてみたいと思います。

もっとも『トランボ』にはブルース・クック原作の映画化ではあるのですが、原作ではなく本書を使うのは、この本が身近にあるブログ主のさもしさだと思って下さい。

  〇 トランボはキング兄弟に売り込みをしたのではなく、キング兄弟がトランボに近づいた。

映画だとトランボがキング兄弟に売り込みをしていたが、事実はキング兄弟がトランボに接触してきた。この変更は映画的な省略なのは誰でも分かることだが、事実がそうなのはキング兄弟にそのような先輩がいたからだ。 フィリップ・ヨーダンがそれにあたる。

フィリップ・ヨーダンとは - はてなキーワード - はてなダイアリー 

ヨーダンは赤狩りでハリウッドから追放された脚本家の代わりに名を貸すフロントと呼ばれる事をしていた。もちろん手数料はもらう。ヨーダンとキング兄弟のそんな関係があり、それがヒット作になりキング兄弟の経営基盤を築いた経験があったからこそ、キング兄弟は「うまい脚本家を安く使える」理由で、その頃は縁が切れていたヨーダンの次の相手としてトランボを密かに雇い入れたと本書では書かれている。


『黒い牡牛』は盗作騒ぎがあった。

映画だと『黒い牡牛』はトランボのオリジナルストーリーになっていたが、これには盗用で訴訟問題までおきている。『黒い牡牛』はナッソー兄弟が頓挫した企画『エミリオと牡牛』とそっくりらしい。ナッソー兄弟はポール・レイダーなる人物からその企画を買ったのだが、そのアイディアは実は『キング・コング』のウィリス・オブライエンらしい。

ウィリス・オブライエン - Wikipedia

つまり『黒い牡牛』がアカデミー賞を受賞しなければ盗作騒ぎがおきなかった訳だ。結局はこの騒ぎは示談で収まった。ちなみにナッソー兄弟の祖父のウィリアム・ナッソーは『原始怪獣ドラゴドン』のプロデューサー知られているらしいがブログ主には『恐竜グワンジ』の先駆けぐらいしか知識がなくて未見である。


あとブログ主的に印象に残っているのは『猿の惑星』のキム・ハンターが赤狩りにあっていた事や監督のオットー・プレジンジャーの評価とかトランボのハリウッドへの復帰をカーク・ダグラスがどうやって道筋をつけたのかがある。息子のマイケル・ダグラスは1970年代から80年代前半は俳優よりもプロデューサーとして映画ファンには知られていたし、あの『カッコーの巣の上で』も彼のプロデュースのひとつだ。その映画化権を買ったのがカーク・ダグラスだったのを知ったのが本書だった……


ハリウッドの赤狩りで当時の映画人で得をしたのは後に政界へと進出したロナルド・レーガンぐらいじゃないかと思うくらい赤狩りはハリウッドに深い傷を残した。感傷的な言い方をすれば、もしかしたら1970年代から80年代にかけてのジェーン・フォンダヴァネッサ・レッドグレイヴらのスターの政治的活動や、今でもスター達が共和党大統領候補であるドナルド・トランプを非難するのはかつての赤狩りのような社会状況にならないようにするための行動なのかもしれない。






 
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