ここでは題名を恣意的に表記します。[敬称略]
神話のポリネシアン世界を描いた『モアナと伝説の海』はSF映画ファンなら観ておくべき映画だ。ここでは自分のSF映画ファン心をくすぐった部分を書いてみたい。
こちらもお願いします。
ここから先はネタバレになります。映画を観ていない方にはおススメできません。
……彼らは、島が地平線の下にあってまだ見えない時点で近くに島があることを示すわずかな手がかりを読み取る力を身につけていました。当時のヨーロッパの船乗りたちは、海鳥がいるということは沖合いに陸があることを意味していることを理解し、島が見えるはるか前から低い島の雲が見えることにも気づいていました。しかし、大きな外洋のうねりが島の横を通ると屈折し、その際、うねりの下手(風上)に交差海面ができることを知っていたのはポリネシア人だけでした。
ロジャー・ペイン著『オッデセイ号航海記』より
『モアナと伝説の海』は「閉ざされた海の道」を新たに切り開くために、そしてそれは生まれ故郷を救う道でもある。主人公のモアナが半人神のマウイと共に北の海で起こっている異変を止める話だ。
そして、観終わったSF映画ファンが思いだすのは『スター・ウォーズ』であり『宇宙戦艦ヤマト』であり『ロード・オブ・ザ・リング』であり『アバター』だろう。かつてのSF映画で語られてきた典型がこの映画にも使われている。その魅力は充分にあるから今回は別の視点で書いてみたい。モアナの先祖が何だったのか?目的は何だったのか?その視点からだ。
結論からいうとこの設定で思い出したのは世代宇宙船だった。ということ。ロバート・A・ハインラインの『宇宙の孤児』の世界だ。
記憶が薄らいでゆき本来の目的が曖昧になってきたところでモアナが一族の目的を導く。これにはSF的なスリリングさとワクワク感がある。
そしてラスト新たな目的に向かって旅立つモアナ達を観る不思議な感覚は2016年に観た『オデッセイ』のラストと同じだ。そう、これは「未知の世界へ踏み出す人間」に対する賛歌になっている。
『モアナと伝説の海』は冒険こそが人間の存在証明であると高らかに謳っている映画でもあるのだ。
これが自分の中のSF映画の部分をくすぐるのである。
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