ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]
キングコングの宿敵スカル・クローラーとコングが衝突!『キングコング:髑髏島の巨神』本編映像
『キングコング 髑髏島の巨神』は「お前らは本当はこんな怪獣映画が観たいんだろ!」といわんばかりの『シン・ゴジラ』とは真逆の面白さをもった、ある意味「大人を5歳児に退行」させる傑作でありました。
今回のコングは旧作をリスペクトしつつ、ある一点だけは変更してコングに足りなかったある要素を濃厚に強調させているのに着目して書きたいと思います。王としてのキングコングについてです。
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1933年のコングは髑髏島では誰もが恐れる存在だったが、今まで見たことがなかった金髪の美女に一目ぼれしてしまい自滅してゆく、ハッキリいって「もてない男の悲哀(エレジー)」であり「村一番が都会に出て現実に押しつぶされてゆく悲劇」の映画でもあった。後にリメイクされたジョン・ギラーミン監督の1976年とピーター・ジャクソン監督の2005年も基本はそれを押さえている。意外にも最後までコングの強さを強調しているのは東宝が映画化した『キングコング対ゴジラ』と『キングコングの逆襲』の二作かもしれない。というよりも後にハリウッドが制作する怪獣映画の基本「人間が知恵で怪獣を倒す」のプロトタイプがキングコングなのだから。
今回のコングは舞台を髑髏島に限定することでコングのもつ「強さと神聖さ」を強調したつくりになっている。もちろんその強さは決してお山の大将ではないことはヘリとの遭遇のシーンからすぐに分かる。
そして神聖な部分はコングが髑髏島でやっていることとでも分かるし、何よりもコンラッドとウイーバーがコングと相対することからも見て取れる。二人からコングはただの凶暴な怪物なのではなく、別の何か例えば畏怖を感じる存在になる。
そして、これはコングから凶暴な強さを感じ、倒すべき存在と認めたパッカードと対の描写になっている。そして、その二つがこの映画を見世物としてではなくドラマにしても奥行きがある感覚にしている。
今回の変更はどうしてそうなったのか?と考えればもちろんエンドロール後のアイツとの戦いの布石なのは明かだ。それはまさにプロレスよるマッチメイクのひとつだろう。そしてそれは来るべきアイツとの戦いが北欧神話のラグナロクとしてお膳立てされている予感だ。何故ならお今度のコングには登場人物のひとりが、コンラッドの名を拝してるから。
つまりコンラッドの著作である『闇の奥』はワーグナーの楽劇『ニュルンベルグの指輪』に影響を受けている。そしてワーグナーは北欧神話のラグナロクに影響を受けているから。このコングはハッキリと『地獄の黙示録』の影響がみえるのは映画ファンなら説明しなくても分かるし、『地獄の黙示録』でかかる『ワルキューレの騎行』はワーグナーの曲だからだ。
そしてモナーク機関のモナークが君主を意味することからそれも察せられる。「俺ら勝手にドッタンバッタンするけど、それで世界がどうなるかは知らん!」だ。
それを踏まえるとこの夢のタッグマッチの試合内容がうっすらと予想できてしまうのだ。少なくとも今までハリウッドがやっていた「人間の知恵で何とか解決する」展開にはならないだろう。
もっとも本当にそうなるかは分からない。だけど個人的には健康管理に留意しつつ品行を良くしてこのタッグマッチが終わるまでを見続けたい気持ちも確かだ。
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