ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]
『ジュラシック・パーク』おけるヒーローはティラノサウルス・レックスことT-REXは(雌)だ。そこで今回はティラノサウルスはどうしてこのシリーズでのヒーローとして設定されたのか。自分の考え(妄想)を書いてみたいと思います。
分かりやすさを優先して汚い言い方になるが、スピルバーグ監督はイメージを他の映画から盗るのが上手いパクリの名人だ。最近だと『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』がアラン・J・バクラ監督『大統領の陰謀』だけではなく、レモネード売りの娘のあたりで黒澤明監督の『まあだだよ』の第一回 摩阿陀会の自己紹介の辺りを拝借したり、ストリープの電話を子機でハンクス達が聞き耳を立てている辺りは『天国と地獄』での権藤と刑事らの雰囲気を上手くパクッているのが見えている。
勢いで続けると『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』は『アラビアのロレンス』、『幌馬車 (1950)』、『リオの男』、『十戒』から、『宇宙戦争 (2005)』は『トゥモロー・ワールド』、『クレイマー、クレイマー』、『ソフィーの選択』、『鳥』などから上手にパクっている。
もっともスピルバーグを弁護すると、彼がよくパクる黒澤明だって例えば『影武者』だとアンドレイ・タルコフスキー監督『惑星ソラリス』やセルゲイ・エイゼンシュテイン監督『イワン雷帝』からパクッているのだから、自分が具体的な作品を知らないだけで、名監督というべき人は「誰にも知られないように上手いパクリする人」なのだろう。昔読んだ漫画家入門でよく書かれていた文言、「マンガばかりではなく映画や小説も観ましょう読みましょう」はそうゆうことでもあるし、「上手いパクリ」は結局は、その人のセンス、つまりオリジナリティにも繋がる。
マイケル・クライトン原作『ジュラシック・パーク』は原作者も脚本にかかわっているから、彼が監督した『ウエストワールド』-- 注:テレビではない。-- は表向きはその路線だが、スピルバーグがやりたかったのは、誰もが思う通り怪獣映画であり、具体名でいえば『ゴジラ (1954)』だ。
スピルバーグ監督がゴジラファンなのはゴジラが尾根から現れる初登場のシーンを『ジョーズ』の初登場シーンや先述した『宇宙戦争』でも尾根の上から現れるトライポッドのシーンなどで見えるが『ジュラシック・パーク』で使われたのは『ゴジラ (1954)』で暴風雨の大戸島で地響きを効かせて家屋を破壊するシーンをティラノサウルスの初登場で使っているから。
そして、この映画の悪役をになっているのはラプトル(ヴェロキラプトル)なのだ。本来ならティラノサウルスは肉食のイメージで敵役に位置しているはずが『ジュラシック・パーク』だと恐竜の頂点の恐竜王に立つのがT-REXになっている。これはゴジラが怪獣王(個人としては怪獣番長)と位置づけられているのと同じ設定なので、この映画はスピルバーグ監督なりのゴジラリスペクトの側面をもっている。
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