えいざつき ~元映画ブログだったポエマーの戯言~

批評というよりも、それで思い出した事を書きます。そして妄想が暴走してポエムになります。

サツキとメイはちょっとヘン?『となりのトトロ』話

ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]

 

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www.imdb.com

 

スタジオジブリを象徴するアニメであり、宮崎駿の代表作でもある。テレビの無い時代、学者の父と田舎に越してきたサツキとメイの姉妹。病院で療養中の母の事を気遣いながらも。近所では「お化け屋敷」と呼ばれていた家の雰囲気にワクワクしていた。確かにそこには不思議な生き物たちが住んでいたのだ。

宮崎駿監督

 

 『となりのトトロ』を観てヘンなところは。どうして「トトロはサツキとメイにしか見えないのか」だろう。サツキの父や家主のばあちゃんも子供ころ見たらしいのだが、そうしたらどうしてカンタやサツキの同級生にはトトロが見えないのか?そしてさらなる謎なのは「どうしてトトロはサツキとメイの友だちになったのか?」。

 

そこから「サツキとメイがすでに死んでいる説」--公式が否定 -- や「トトロはサツキに惚れている説」などが出てくるのだけれども、自分の見立てチョット違う。その考えは後述するとして、まず、そこにいたるまでに宮崎監督は前提としてに周到に伏線をはってクライマックスで炸裂させている。つまり……

 

〇 サツキとメイはお化けを怖がらない。

サツキとメイが「お化け屋敷」に越してきたときにはじめに出会うお化けは、まっくろくろすけ(ススワタリ)というお化けだ。それをサツキとメイは怖がらずに興味をもって元気に探し回っている。だから……

 

〇 メイはトトロと出会ってもメイは怖がらない。

メイがトトロが最初に出会ったときにトトロは大きな口を開けてうなり声をあげるがメイは怖がらずに逆にうなり声で返してトトロを驚かせる。-- トトロの目が大きく開いている -- 映画では視点を周到にトトロの口から見せているので気がつかないが、それをしなかったのは真正面からそれを見れば充分にホラーの演出だからだ。その前振りとして『トトロ』が放送されるたびに言及される「本来なら下顎にしか無い歯を上顎にもしっかり書いてヤギの恐怖感を煽った」云々は「メイが怖がらない性格を描いた」からであり、むしろメイが逆に興味津々で近づいてゆく性格を描くためだったからだ。そしてうなり声を出すトトロにうなり声で返すメイそれは異形のモノ(トトロ)と人間(メイ)が友達になった瞬間でもある。

 

そしてトトロはサツキとも友達になるシーンもある……

 

〇 サツキがトトロにおもちゃをあたえる。

ピンときた人もいるだろうが、雨の日にメイを背負ったサツキがトトロに渡す傘がそれになる。木々の雨だれ音に楽しくなり、サツキとも友だちになった。

 

あとは、あのクライマックスへとー直線だ。

 

それならばどうして二人はトトロ(異形のモノ)を怖がらないのか。自分の見立ては「サツキとメイには恐怖心を条件づける人がいなかった」からだと考えている。心理学のジョン・ワトソンが提唱した行動主義とかを結びつけてもよいが、もっと一般的にいえば「日常でやってはいけないことを教えてくれる人がいなかった」からでもある。もう少し詳しくすると設定上母は病弱で父は仕事があり都会っ子であるサツキとメイには、そうした事をちゃんと教えてくれる人が(あまり)いなかった。そうゆう視点でいえばサツキとメイは「孤独という闇」を抱えていた。だからこそカンタ達ではなく二人がトトロと友だちになった訳だ。「心の闇と本当の闇が出会った」それが自分の見立てだ。

 


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