えいざつき ~元映画ブログだったポエマーの戯言~

批評というよりも、それで思い出した事を書きます。そして妄想が暴走してポエムになります。

2010年代《映画テン年代ベストテン》を発表

ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]

 

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ちなみに『スター☆トゥインクルプリキュア』はこのベストテンには入っていません。2019年のアニメベストには入るかもね。だけど。

 

ワッシュさん主催のはてなブログ『男の魂に火をつけろ!~はてブ地獄変~』恒例のベストテン企画、今年は《映画テン年代ベストテン》。この企画は「2010年から2019年に公開された映画のベストテンを挙げる」というもの。詳しいことはワッシュさんのブログで。

 

washburn1975.hatenablog.com

 

と、まぁ。やりはじめたのだけども……

 

決められねぇ。

 

いや、ベスト5か6まではいつも楽に決められるのよ。しかし、それ以降だと迷いに迷う。迷い道なのよ。ワッシュさんは「迷ったら入れなさい」と推奨するけども、それが30ぐらいある人には何のアドバイスにもなっていないのよ。やっぱり「あれを外すのは惜しい」気持ちが強すぎて、それで毎回ベスト企画の締め切りを外してしまうのよ。

 

ので、今回はSF映画ブログの初心に戻って、勝手にSF&ファンタジーを中心にしてテンベストを選定してみた。

 

そして、ジャンルとしてはSFなんだけれども、DCとマーベルは人気が集中しそうだから、これらも外して、さらにバランスをとってヒーローに属する類いも外した。

 

さらに2010年代の映画とはミヒャエル・ハネケクリストファー・ノーランアルフォンソ・キュアロンの時代だったとも感じているので、多分それらは上位に入ってくるだろうし、だから彼らの作品とその影響下にありそうな作品はあえて外した。

 

また、逆に縛りを解除して、映画館以外で観たDVDなどのメディアも今回は候補に入れて。何とか、ひねり出してみました。

 

表記は、

順位:題名(日本公開年)

:監督名 

の流れ。あと極めて真面目に選んだ理由を書いています。

 

 

第10位:月に囚われた男(2010)

ダンカン・ジョーンズ

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www.imdb.com

2009年から11年あたりで独立系からアートとは違うSF映画が現われはじめる。ニール・ブロムカンプやギャレス・エドワーズもここからだし、『スカイライン -征服-』もこの時代に登場する。これはSF映画がようやくジャンルとしてではなく一般化しはじめた背景がある。その代表的なのがこの作品だろう。

 

第9位:山河ノスタルジア(2015)

ジャ・ジャンクー

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www.imdb.com

韓国のイ・チャンドンに隠れがちだが、中国のジャ・ジャンクーも自国の急速な経済発展で置いてけぼりされた人達の心情を静かに、しかし強烈に描いてきた監督だ。自分は『罪の手ざわり』から監督を知ったが、この作品を選んだのは、これがSF映画だからだ。そしてそのSFである部分に監督の「ある種の優しさ」を感じて選んだ。

 

第8位:オートマタ(2016)

:ガベ・イバニョス

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www.imdb.com

エクス・マキナ』などで描かれる「AIが人類の上をゆき支配する」系の啓発映画は一見その問いかけは高尚に見えても、実は人間の優位性を誇示しているのが見え見えに対して、ここでは聖書を持ち出して「人間も不完全な生き物」と定義してAIとの共存の可能性を示唆する物語になっており、他のAI脅威論映画とは一線を画す作品になっている。

 

第7位:ガールズ&パンツァー劇場版(2015)

水島努

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www.imdb.com

 アクション映画までもが、もはや時評と切り離せない現在、かつて能天気アクションの代名詞だったボンド映画までもがその影響下にあるなか、そういったのは『ワイルド・スピード』とかで、逆に希少になってしまった。この映画もそこに入る。あと、4DXなどの特殊上映をハリウッドメジャー以外で興行的にはじめて成功さた功績も。

 

第6位:キャビン(2013)

ドリュー・ゴダード

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www.imdb.com

1996年 『スクリーム』からはじまった「考察系ホラー」の転換点に位置する作品。これ以降ホラーは考察の深みへと嵌ってゆくのであるが、自分はこれをホラーとしてではなく、ハチャメチャSFとしてみた。あのシーンは、どう見てもギャグだし、それに、あの落としどころもどう見てもギャグだ。

 

第5位:バーフバリ王の凱旋(2017)

:S・S・ラージャマウリ

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www.imdb.com

 時評とは切り離せないアクション映画の状況の中、何の縛りもないアクション映画がこれだった。荒唐無稽なアクションのつるべ撃ちにも関わらず、それでいて能天気さよりも、ある種の高揚感さえ覚える、この説明しようがない、運びの巧さとというよりも強烈さで、知らないはずなの神話世界に一気に没入してしまう魔力をもった映画。

 

第4位:シン・ゴジラ(2016)

庵野秀明樋口真嗣

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www.imdb.com

 「映画は時代を映す鏡」という言葉が真実なら、この映画のためだともいえる。そうゆう意味では『ダークナイト』と同様に、その感動は「それを体験した人が優先的に共感できる」系の映画ともいえる。そして、それは、図らずも1954年の『ゴジラ』がもっていたのであろう、独特の雰囲気も復活させた意味で、この2010年代ベストには欠かせない。

 

第3位:パシフィック・リム(2013)

ギレルモ・デル・トロ

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www.imdb.com

 日本の特撮・アニメのヒーローが最大・最高のリスペクトとなって帰って来た!その先駆けがこの映画だ。背景にはもちろん経済成長が著しい中国の映画市場が背景にはあるが、1960年代から80年代からの、世界に散らばっていた、どちらかといえば「見捨て感」の強かったジャパニーズジャンクカルチャーが芽を吹き、これを期に次々と現われゆく。

 

第2位:マッドマックス怒りのデス・ロード(2015)

ジョージ・ミラー

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www.imdb.com

 「物語など要らない、ただ、ただ、ただ!走ればドラマは生まれる」それを具現化したのがこの映画だ。スピードではじまり、スピードで終わる。それでいてディテールは豊かであり、不思議な高揚感さえも感じてしまう意味では『バーフバリ』と同様に知らない神話世界に一気に没入してしまう魔力を持っている。

 

第1位:メッセージ(2016)

ドゥニ・ヴィルヌーヴ

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www.imdb.com

 原作のメインとなるSFアイディアは違えども、その精神はしっかりと描かれていた映画。一見、運命論的な描き方で自由意志が無いと思われるが、「運命がそうなっていても、そこへ至る道は無限にある」を主人公の覚悟として描写することで、自由意志を担保して「時間改変」ではなく「意識改変」への転換を提示する。これは仏教でいうところの「悟り」の考えに近い。少し難解だが、そのメッセージは充分に伝わる。

 

あらためて、まとめると以下になります。

 

第1位:メッセージ(2016):ドゥニ・ヴィルヌーヴ

第2位:マッドマックス怒りのデス・ロード(2015):ジョージ・ミラー

第3位:パシフィック・リム(2013):ギレルモ・デル・トロ

第4位:シン・ゴジラ(2016):庵野秀明樋口真嗣

第5位:バーフバリ王の凱旋(2017):S・S・ラージャマウリ

第6位:キャビン(2013):ドリュー・ゴダード

第7位:ガールズ&パンツァー劇場版(2015):水島努

第8位:オートマタ(2016):ガベ・イバニョス

第9位:山河ノスタルジア(2015):ジャ・ジャンクー

第10位:月に囚われた男(2010):ダンカン・ジョーンズ

 

以上、これが、自分の映画2010代ベストテンになりました。

 

あと、選外になってしまった20作品を順不動で。

表記は 題名(日本公開年):監督 で。

 
恋人たち(2015):橋口亮輔

インターステラー(2014):クリストファー・ノーラン

この世界の片隅に(2016):片渕須直

オデッセイ(2015):リドリー・スコット

神々のたそがれ(2015):アレクセイ・ゲルマン

かぐや姫の物語(2013):高畑勲

ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー(2016):ギャレス・エドワーズ 

ザ・レイド(2011):ギャレス・エバンス 

NO (2012):パブロ・ラライン

妻への家路(2015):チャン・イーモウ

ドラゴン×マッハ! (2017):ソイ・チェン

冷たい熱帯魚(2010):園子温
キャプテンアメリカ・ウィンター・ソルジャー(2014):アンソニー・ルッソジョー・ルッソ

十三人の刺客(2010):三池崇史

白いリボン(2010):ミヒャエル・ハネケ
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019):クエンティン・タランティーノ 

ハドソン川の奇跡(2016):クリント・イーストウッド 

トランボ ハリウッドで最も嫌われた男(2016):ジェイ・ローチ

フライト(2013):ロバート・ゼメキス

ROMA/ローマ(2019):アルフォンス・キュアロン

 

 

もう少しあるのだけれども、きりがないのでこのまま終わります。

 

 

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キネマ旬報 2018年12月下旬特別号 No.1797

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