ジュピター : 作品情報 - 映画.com
『ジュピター』は何故、イマイチなのか?
もしやと危惧したが、そのとうりになりました。どうしてそうなったのか?
壮大なスケール感を出そうとしてやりがちな失敗がこれ。感情移入を進めているつもりだろうが、エンタメを期待して観ている人の気持ちは「早く本題に入れ!」だ。これをする場合は場面のカットをテキパキと切り替えて進めるか、『スター・ウォーズ』のように字幕を工夫するしかない。
『スター・ウォーズ』(1977)
その二:人類が危機に気が付かない場合、冒頭から非日常(宇宙船等々)な描写はするな。
ウォ シャンスキー姉弟の代表作である『マトリックス』では日常が実は“日常ではなかった”パターンで激しい戦闘が“無かった”ことになっている『ジュピター』 もそのパターンになっている。なっているが『マトリックス』が公開時に映像が新鮮だったのに対して『ジュピター』のはSF映画では見慣れた場面ばかりだ。 これで冒頭から宇宙船が飛ぶような非日常の描写をしたら「また、このパターン」的な見方に固まってしまい、以降のワクワク感が高まらない。3Dのために冒頭から派手にしようとしたのかもしれないが、失敗するのは当然だ。斬新さに自信がなければするべきではない。非日常の切り替えは病院からはじめるべきだっ た。どうしてもしなければいけないのなら冒頭の宇宙船はジュピターの“夢”として描写して後の予兆としての雰囲気づくりにするべきだ。
『マトリックス』(1999)
その三:ヒロイン(ヒーロー)である証明を描写しなければならない。
作 中ではジュピターが選ばれたのは「母の遺伝子をもっている」のみの設定で主人公となっている。しかし、SFアクションならクライマックスで主人公である “証明”をしなければならない。『スターウォーズ』のルークも『マトリックス』のネオもクライマックスに主人公である証明をする。また『ターミネーター』 でもサラがターミネーターをプレスすることによって主人公であるのを証明しているが『ジュピター』の主人公にはそれがない。あえてあるとすればケインを選んだというのだが、それはSFアクションの主人公でなくても良いはずだ。どうしてそうゆう展開にしたいのならパレム達の行動を内部抗争で描写せずにジュピ ターを中心にした宇宙を舞台にした大きすぎる恋愛映画にするべきだ。男性はウンザリするだろうが、少なくとも主人公の証明にはなる。
『ターミネーター』(1984)
上の三点はSFアクションを観る者が気持ちよくなるものでもある。
要するに『ジュピター』はグレイやミステリーサークル。映画『卒業』そして神が人間を造ったのは食べるためだった。等の描写をしたいがために後からキャラとストーリーを考えた感がありすぎるところだ。それがいけないという訳ではなく、それが誰に向かって語っているのかが分からないのだ。
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