注:加筆修正
観る人を選ぶけど『トゥモローランド』はオールドディズニー感あふれる映画でした。
作品の根底にあるのは18世紀に興った百科全書派からの流れで誕生して20世紀中ごろで消えていった「みんなが、一人一人が向上心をおこたらずにいれば未来は明るい」というテーゼにささえられた、いわゆる “教養主義” を前面に押し出している。(主人公の名前がニュートンなのが、その象徴にもなっている)「学校の授業にどうして音楽や運動があるの?」を疑問に感じている人達にもいえるのは、その “教養主義” 的行為をいまだに続けているからだ。作品としてみるなら「うーーん」だけども。
〇万博
国際博覧会 - wikipedia
ニューヨーク万国博覧会 (1964年) - wikipedia
成長の限界 - wikipedia
万博は“文明”を語る場所だった。 “文明” を語る場合はどうしても “未来” を語ることになる。そして暗い未来を語らずにできたのは万博をしている時代にもいつも戦争や公害があったが、将来を予測する(学術的な)暗い社会モデルが存在しなかったからともいえる。暗い未来を予想する社会モデルが提示された後に万博はその魅力をうしなってゆくのだ。
〇ヴィンテージ玩具店
ヒューゴー・ガーンズバック - wikipedia
アーシュラ・K・ル=グウィン - wikipedia
主人公のニュートンがバッチの秘密を探るために立ち寄るこの店はオールドSFファンがニヤリする展示物が多く並べられている。(『アイアン・ジャイアント』があるのはご愛嬌)店員のひとりの名前がヒューゴーなのですぐにわかるがもうひとりの店員の名前がウルスラであるのはアーシュラ・K・ル=グウィンのアーシュラの呼び名からとっている。ちなみにウルスラが観ていたのは映画『世界が燃えつきる日』(1977)
おまけ
ウォルト・ディズニー - wikipedia
ディズニーにはいわゆる黒歴史が多くあるがどれも風説であり核心を示す証拠はない。自分が感じているのは、いわゆる “オタク” であり、拝金主義が嫌い。といったところか。とくに後者は『トゥモローランド』で登場人物の一人であるニックスに批判されていた。