注:ここでは『ちはやふる 上の句』を『ちはやふる』として表記します。他の題名を恣意的に表記します。
ネットでの『マネー・ショート』評で多いのは「経済と金融の知識があればもっと楽しめたかも」だったのだが。
それは、違うぞ。
自分の主張は「それはあなたが『マネー・ショート』が面白いと感じたから、経済や金融の教養を深めたいと思っている」だ。
ピンとこない人に別の言い方をするとこうなる。『 バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(以下『BvS』と略)を観終わったあと「DCコミックの知識があればもっと楽しめたかも」なんて思わなかったのと同じだからだ。映画の出来がイマイチと感じたならそれは誰も考えないからだ。
==== さて『ちはやふる』だけど
ちはやふる 上の句 : 作品情報 - 映画.com
ネットでの評判に個人的には「そこまでの出来かな?よくある青春物だし、斬新な見せ方や普遍性も感じられないし、しかも、まだ半分なのに」の気持ちもある。ちなみに原作は読んでいません。
それじゃ、イマイチなのかと言えば『ちはやふる』は半分でもちゃんと「映画になっている」
それがわかるのは前半。スケベ心の男子生徒の前で千早が競技かるたの実演をみせるシーンがもの凄くうまくいっているからだ。あの僅かなシーンから。
競技かるたがどうゆうものか。
その競技かるたに情熱をそそぐ千早の姿。
この映画の演出方法。
この三種がいっしょに “解って” しまうのが自分が考えている「映画になっている」瞬間のひとつで『ちはやふる』にはそれがちゃんとあるからだ。
原作どおりなら映画への変換がうまくいっているし、オリジナルなら上手い工夫になっている。
それが白目をむいて倒れたり、馬鹿っぽい動きをする千早にドン引きすることなく、リアリティを感じられるのだ。
それに観終わったあと、おそらくほとんどが「競技かるた」や「百人一首」に興味をわくようになっている。
そこで最初の問いにもどると「『BvS』を観終わったあとDCコミックを読みたくなるか?」
そうはならないだろう。『ちはやふる』ではそうなるのに。
ここの主張は「エンタメを楽しむのに知識は重要ではない。むしろエンタメを楽しんだあとにそのバッグボーンを調べたくなるのが良いエンタメ」だ。
個人として良いエンタメとはそうゆうものでなければいけないと考えている。からだ。