えいざつき ~元映画ブログだったポエマーの戯言~

批評というよりも、それで思い出した事を書きます。そして妄想が暴走してポエムになります。

ネタバレ有?:映画『聲の形』は『ガルパン』に似ているんじゃないか?説

ここでは題名を恣意的に表記します。[敬称略][加筆修正有]

 

原作は未読なので映画『聲の形』についてのみを書きます。

  

映画『聲の形』 本予告 

eiga.com 

 

個人的な感想として「普通に面白い」、そして「丁重に作られた良映画」なのだが、この映画を観てあるテレビアニメを思い出した……『ガールズ&パンツァー』愛称『ガルパン』である。脚本が両作と同じ吉田玲子なのでそう感じたのかもしれないが……

 


「ガールズ&パンツァー」番宣CM [Girls and Panzer] 

GIRLS und PANZER(ガールズ&パンツァー) : 作品情報 - アニメハック 

 

ちなみに自分は『ガルパン』については劇場版からテレビアニメ、OVAに入ったいわばニワカガルパンおじさんなのでその事は了承していただきたい。

 

そして今回の『ガルパン』は劇場版ではなくてテレビアニメの方。それではまず唐突にドラマとは何か……

 

 

 ……ドラマとは葛藤を描く事。そして葛藤とは「心に存在する相反する何かが衝突する」 そして今回の主目は葛藤について。

 

ちなみにドラマとは「葛藤を論理から最も遠いところで終わらせる事。そして受け手がそれに触れている間はそれを悟られない事」だ。

 

葛藤に戻ると主要人物が葛藤があるにしても映画で「私は現在こうゆう心境で、相反する二つの感情が戦っている」とかやりだしたら観客はドン引きをするのは分かりきった事だから、それを何かで肩代わりするモノが必要になる。やり方は色々あるが、こういったのは大体が脇役が担うことがある。ここでは便宜的に「葛藤の代役」と呼んで進める。

 

例として「葛藤の代役」で誰もが知っているキャラといえば、吉川英治著『宮本武蔵』の本位田又八(ほんいでんまたはち)だろう。彼は武蔵が選択しなかった「そうなっていたのかもしれない」人生のお手本であり、対照的に描かれているからこそ武蔵の人生がドラマチックに感じる仕掛けになっているからだ。

 

ガルパン』の主人公である西住みほの葛藤は何か?「自分の判断は正しかったのか?そして自分は正しいのか?」これは簡単にいうと「今まで習っていた事と違った行為をした戸惑い」だろう。

 

そして『ガルパン』にはもう一人葛藤しているキャラがいる。「どうして自分と一緒に戦車道をしてくれないのか?そして自分と妹はどこかが違う」と苛立っている姉の西住まほがそう。

 

ガルパン』はその二人の葛藤のぶつかりをクライマックスのアクションで描写している。だからこそあのシーンは理屈ではなく感情で、あの流れは納得できるシーンになっている。

 

西住みほの「葛藤の代役」は誰か?みほが「あのとき」の事を責められたとき真っ先に弁護したチームメイトの秋山優花理。彼女がみほの「葛藤の代役」。

 

西住まほの「葛藤の代役」は簡単に分かる。再開したみほに最初に嫌味をいう逸見エリカがまほの「葛藤の代役」。

 

みほの代わりに優花里が、まほの代わりにエリカが「代弁」することで『ガルパン』では二つの葛藤がぶつかり合っている。だから、黒森峰高との決勝戦でみほがかつて助けた仲間と話している姿を見つめているのは優花里とエリカになっている。みほとまほのふたつの葛藤という感情の波が収まったシーンでもある。

 

 

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ガールズ&パンツァーより

 

やっと本題。答えから先に書くと 映画『聲の形』での西宮硝子の「葛藤の代役」は西宮結絃。そして石田将也の「葛藤の代役」は植野直花。この二人だ。

 

映画『聲の形』ではまず結絃が硝子の「葛藤の代役」で心の壁となって将也と対峙している。そして花火の後は将也の「葛藤の代役」である直花が心の闇になって硝子が対峙する構成になっている。葛藤を説明しなければ自然にそうなる。

 

そうしたのはおそらく観ている者に感情を誘導しない「両者の葛藤のみを描いて対立をことさら目立たせない」ための -- アニメファンが言うところの鬱展開に感じさせない。 --  配慮だろう。そこが『ガルパン』とは違う。この映画はそれほどスペクタクルではないからだ。そしてドラマチックにしてしまうと観ている者の感情の空々しさが強くなってしまう可能性があると考えてだろう。だからこの映画におけるドラマはかなりの奥行きが感じられる。

 

だから、映画『聲の形』は「丁重な良映画」だ。感想が「普通に面白い」なのはそうゆう訳です。

 

 余談:テレビアニメ『ハイスクール・フリート』でも『ガルパン』と同じ事をやっている。吉田玲子の特徴なのかも。 

 

 

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