ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略] [加筆修正有]
大藪春彦というよりも小池一夫だったよ『ザ・コンサルタント』は。
そして信じられないかもしれないが観終わった後に心が少し温かい感じになります。
ここではその「ほっこり」を二つ書いてみます。
こちらもお願いします。
ここからはネタバレの部分になります映画を観ていない方にはおススメはできません。
膨大な数字からパターンを見つけ出すウルフの設定は、『レインマン』のチャーリーや『マーキュリー・ライジング』のサイモンと同じだ。主演のベン・アフレックから同じ設定の『デアデビル』を思い出すかもしれないが、これは殴り合いメロドラマ『ウォーリアー』監督のギャヴィン・オコナーだから、やっぱり映画は爽快感よりウェットの方向で描かれる。
冒頭の裏返しで完成したモハメッド・アリのパズルのシーンがこの映画の全てを説明している。失語症だったアリは己の拳で世界を変えた。そしてウルフも自身の能力で世界を変えようとする、ただし裏社会をだ。
ほっこり一番目は。その動機がもう一人の恩人で刑務所仲間でもあった会計士の敵討ちだからだ。「一度はじめたら終わるまでは落ち着かない」パズルのピースが見つからないのでわめき散らすソレだ。恩人を葬り去った裏社会そのものをこの世から無くしてしまわないと「落ち着かない」訳だ。ハッキリいってぶっ飛びすぎている。でも『ジョン・ウィック』にはまだ勝てていないけど。
だから世間になめられないため父親の親心(?)で身につけた戦闘術を使用して裏社会の連中を葬り続ける。まさにド恩返しである。
ほっこり2番目は、ウルフとデイナの交流だ。他人との接触をできるかぎり避けていたウルフがジャクソン・ポロックのパターンの無い絵画に「美」を見出しそれに心の平安を得るのは分かるし、それを共有できるデイナとのわずかな触れ合いは父親に「お前は異質だ」だと言われ自身もそれを自覚しているからこそ今まで他者と積極的に向き合っていなかったウルフにそうゆう「芽」を誕生させるっかけになっている。
ハッキリいってドラマの構造は『レインマン』と同じなのだが違うのは『レインマン』が主にハビットの視点で描かれているとしたら『ザ・コンサルタント』では主にチャーリー、つまりウルフの視点から描いているところだ。
だから一見本筋に必要なさそうなレイモンドとメリーベス捜査官の描写は大事だ。これをしないとウルフのキャラがステレオタイプ --ウルフの相棒の正体を知ったとき、ソレに対して驚いたり、ニヤリとしたし、どうゆう意味?などの気持ちがわく事が自分達が日頃からステレオタイプに当てはめてドラマを観ている証拠でもある。ーー になってしまう恐れがあるから。映画のメインはウルフの複雑な心の風景を覗く目的だからだ。
どーだ、ほっこりしたろ。死体だらけだけど!
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