ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]
『ザ・マミー 呪われた砂漠の王女』、自分としては「退屈しない程度には楽しめる」だ。アクションはたくさんあるし、新しいところは「呪われるヒロインがトム」なのだが、その新しさがあまり映画に反映されていないところが難点でもある。つまり、物足りないのだ。
ダーク・ユニバースより
しかし、だからといって、その物足りなさがユニバーサル・モンスターズを基にしたダーク・ユニバースに配慮、またはヨイショしたから。そうなった訳ではない。ましてやあのオッサンのせいではない!
予告より
あのオッサンはこのドラマでの重要なキーパーソンだ。『ザ・マミー』でトム・クルーズが演じる主人公は「身勝手なチャラ男が自分の中にある正義に目覚める」なのだから、「悪に堕ちるとどうなるか?」を映画として描写する必要がある。したがって、あのオッサンほどそれを簡単に分からせるキャラはいないじゃやないか!!
そして、それはこれからはじまる。 --あるとすればだが。-- ダーク・ユニバースの全体をつらぬくテーマだろう。見かけとは違ってモンスター達は自分の中にある「悪と善」との葛藤のドラマになるのだろう。
そうしたら『ザ・マミー』の「物足りなさ」はどこからくるのか?それは、同じように
『ミイラ再生』からリメイクされた『ハムナプトラ 失われた砂漠の都』を観直せば分かる。
こちらもお願いします。
ざっくり言えば「観ている者の感覚を逆撫でする感」だ。ショッキング、ザワザワ、言い回しは何でもよいが、ホラー、またはホラー風に必要な感覚が『ザ・マミー』にはまったく感じられない。『ハムナプトラ』にはソレがあった。それが分かる動画はこれ。
THE MUMMY (1999) Movie Clip - Imhotep's and Anck-Su-Namun's Curse |FULL HD| Brendan Fraser
ちょっとはザワザワしたでしょう。『ザ・マミー』にはそれがない、アマネットの処理のシーンはアッサリだから「物足りない」感覚がぬぐえない。
監督は「いや、そういうのはやっているから」とか反論するだろう。それはもちろん自分にも分かる。アノ人でしょ。
予告より
予告は実はミスリードなのだが、トムの相棒であるクリス(役名)は本来ならトムを苦悩させる役どころであるのだが、何故だか良い人(?)しか見えない。デジタルメイクが足りない。少なくともこうするべきなのだ。
THE MUMMY (1999) Movie Clip - Rick Scares Imhotep with a Cat |FULL HD| Brendan Fraser
大体、あのアイディアは『狼男アメリカン』からヒントを得たのだから。もうちょっと崩してもよかったじゃないか。多分レイティングの関係なのだろうが、そこをどうにかするのが監督の腕だろうが!
『ザ・マミー』はこのようなホラー(風)に必要な「隠し味」が抜けている。こうなってしまったのはトム・クルーズファンが求める楽しさとホラー(風)ファンが求める楽しさが乖離しているからだ。腕の良い監督なら何とかしたのだろうが、新人監督には荷が重すぎた。だろう。
絶対にハイド博士のせいじゃないんだ。本当なんだ!!