ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]
『キャリー』『アンタチャブル』『ミッショイン:ポシッブル』等々の数々の傑作・話題作を世に送り出してきた映画監督 ブライアン・デ・パルマ。このドキュメンタリー映画は彼が自身の作品を振りかえつつ、アルフレッド・ヒッチコック監督への尊敬と愛を語る。
ノア・バームバック&ジェイク・パルトロウ 監督
最初に断っておくと俺は熱心なデ・パルマ ファンではない。彼の全作品を全て観ている訳ではないし、それにあの『ミッション・トゥ・マーズ』で「駄目だこりゃ」と感じてしまったからでもある。だから、あの作品を推す熱烈なファンに到底及ばないのは百も承知だ。本来ならこれを書くべき人間ではない。
しかし、ドキュメンタリー『ヒッチコック/トリュフォー』に出演しても当然な経歴の男が「ガン無視」されたからには。今回は感想というよりもただの感情をアノ映画に対する抗議の意味を込めて書くべきだと思いキーボードを叩いている。
デ・パルマ映画とは何か?画面分割か?スローモーションか?長回し移動撮影か?それは当然にあるが、本質にあるのは「捻くれ」だ。トラウマだ。暗い情念だ。
『キャリー』で罪滅ぼしで主人公に栄光を譲ったクラスメイトにトラウマを残し、『ミッドナイトクロス』で良い仲になったヒロインを最後にはああしてしまい、ああすることで贖罪をする。それがデ・パルマ作品だ。
だから『スパイ大作戦』ファンを困惑させ激怒させた『ミッション:インポッシブル』もトム・クルーズのエゴに乗った形とはいえ喜々として撮ったのに間違いないと確信している。それがデ・パルマだから。
そんな彼がかこの自作を振りかえつつ語るのが、このドキュメンタリーだ。その印象だけでいえば「大人気ない」だが、やはりデ・パルマも映画のことだけしか考えない映画バカでありそして、やっぱり女性に酷い扱いをするので……ド変態だ!
『カジュアリティーズ』でのショーン・ペンの演技(笑)や『スネーク・アイズ』で当初に考えていたエンディングなど、彼が自作を語りつつも後半に入るとVFXが主流の現在とそれに乗れない自分を語り、どんな監督でも「50歳までが最長期」だと語り、暗に自分の「老い」を語るのは薄いファンの俺でも切ない感情にもなる。そして、その合間に『ヒッチコック/トリュフォー』で「勃起」と語られた例のシーンにバーナード・ハーマンの楽曲ではなく、ピノ・ドナッジオによる『殺しのドレス』のテーマがかかってくる。
それは「俺こそがヒッチコックの精神を承継している男だ」と主張する彼に対して「そのとおり!」と返すバームバック&パルトロウ 監督の最大の賛辞であり……
過去の偉大なド変態と現代の偉大なド変態が邂逅する最も感動的なシーンだ。
そして俺の全ド変態がスタンディングオベーション!!
デ・パルマまだ頑張れる。頑張ってくれ!としか言えない気持ちになった。
今回は、そんな支離滅裂な文章と締めで終了。
De Palma | Official Trailer HD | A24
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