ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]
マンガ『ビー・バップ・ハイスクール』で知られる木内一裕(きうちかずひろ)の同名小説の映画化。元ヤクザの矢能政男は血のつながらない小学生の少女黒木栞と共に探偵、事務所に住んでいた。ある日、依頼の電話が入り指定した場所に伊能が向かうと、そこには血まみれの死体が置かれていた。ハメられたと覚った伊能は自分を容疑者へと陥れた相手を探し出そうとするが。
『アウト&アウト』は 制作(東映東京撮影所)と配給(ショウゲート)は違うが、主役と敵役だけではなく傍役までクセの強い役どころを配しているあたりに、かつての制作東映セントラル・アーツと配給東映セントラルフィルム(以下、まとめて東映セントラルと呼称)の雰囲気をまとった映画なのはすぐに分かる。
東映セントラルとは若手俳優と自主映画・独立プロの監督を中心にした作品群で、80年代の日本映画の一角を担っていたのは確かだ。もっとも自分が知っているのは『最も危険な遊戯』の遊戯シリーズであり、薬師丸ひろ子主演『野蛮人のように』であり、やっぱり『ビー・バップ・ハイスクール』と『あぶない刑事シリーズ』ぐらいだが。
そして観終わって東映セントラルで自分が思い出したのは『アウト&アウト』の伊能との年齢が近いためか、藤竜也 主演『映画 友よ、静かに瞑れ』 だ。男の生き様を描いた映画だが、藤竜也の主人公と友人役の林隆三が「同じタイプの男」であることを描き、友人のために「何をしてやれるのか」をテーマにした作品で、『アウト&アウト』も伊能と敵役でもある池上数馬が同じタイプの男として描かれているからでもある。伊能は栞に対して、数馬は花屋の女性に対して純な態度をとる。暴力では容赦がないのにだ。それは伊能がある男に対して「あんた、どっち側で死ぬんだ?」の台詞もそれを裏付けてもいる。
つまり、この映画はバイオレンスよりもハードボイルドの要素が強い。いわゆる「男の世界」を描いている。
だから、後半の一見、都合がよすぎる悪役の行動もハードボイルドの様式、簡単に言うとお約束なので、「そうゆうモノ」だと割り切ってもらうしかない。「男でない」男は惨めな最後になるのは当然なのだから。
そうゆう意味では、女性陣の描き方といい、見事なまでに「男のための映画」なので、間口は結構に狭い。最初の10分でノレなかったら、残念だがあなた向きでは無かった。という事になる。逆に言えば自分と同じ様にノレたら、最後まで面白い。
そして最後に。予告を見てピン!ときたなら躊躇せずに見ろ!!
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