ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]
ゲーム機の世界を題材にした3Dアニメ『シュガー・ラッシュ』の続編。前作で友達になった「フィックス・イット・フェリックス」の悪役キャラのラルフと「シュガー・ラッシュ」のプリンセスであるヴァネロペ。しかし、最近のヴァネロペは繰り返すゲーム展開に刺激が欲しくなってきた。そこでラルフが新しいコースを作り出すが、そのためにゲーム機本体のハンドルが破損。このままでは廃棄されてしまう危機に。居場所を守るためにラルフとヴァネロペが思いついたのは最近繋がったインターネットの世界に入りハンドルを手に入れることだったが……。
『シュガー・ラッシュ オンライン』はとっても楽しい映画だ。展開は昔ながらの「田舎者が大都会にやってきて。さあ、大変!」映画なのだが、前作同様レトロゲームキャラもたくさん出てくるし、主な舞台がインターネットなので、ネットのアレヤコレヤが散りばめられて -- ちゃんとネットの裏の部分も描かれているのでそれも含めて -- 楽しいし、流石キャラクターコンテンツの雄を目指すディズニーだけあってディズニーアニメやピクサー作品だけでなくスターウォーズやマーベルのキャラも散りばめているし、レイティングのせいでズバリではないが犯罪ゲーム『グランド・セフト・オート』を連想させる『スローターレース』があったりして子供は大喜びだろう。……子供には。
しかし、これは大人が見るとゾッとする映画だ。自分が試されるからだ!
予告でもあったからネタバレにはならないと思うが、ヴァネロペが迷い込んだプリンセスの部屋で「ヴァネロペがプリンセスかどうか?」会話が交わされるが、そのときの定義がオッサンの自分からすれば「お前はミュージカル嫌いのタモリか!」と突っ込まずにいられないモノになり、そしてヴァネロペもその様なことがおこってドッと笑いを巻き起こすのだが、そのときにヴァネロペが歌うのは「恋の歌」や「自分らしさ」なのではなく「自分の力が思う存分に奮える場所」なのだ。簡単に言うと「慣れ親しんだ共同体から離れる、自立の芽生え」が、ここで描かれる。
この作品ではプリンセスの自立が描かれるのだ。
そこで今作のラルフの役割が見えてくる「自立を摘む心」だ。今作では「友達」だが、そこに「親」とか「恋人」とかの単語も当てはめることができる。それからの流れは、つまり嫌がらせ、いじめ、ハラスメントがラルフを通して描かれる。ヴァネロペの自立を阻むのが今作のラルフの役割なのだ。
やっかいなのは自立を阻むのは悪意ではなく、「愛」なのだ。今作だとラルフがヴァネロペに対して抱く友情を示す。それは自分も含め、誰もが持っている感情であり、今は子供だが将来に大人になる者にもやがてもって当然なモノなのだ。もう少し付け加えると愛に寄生虫がごとくにまとわりつく「依存心」のことを指す。
つまり、「愛する者に芽生えた自立心にどう対応するのか?」という、誰もが直面した。または直面するだろう時期を描いている。特にクライマックスに暴れるラルフの「心」は近いところでアン・ハサウェイ主演の怪獣映画『シンクロナイズドモンスター』の怪獣であり、原点はレスリー・ニールセン主演のSF映画『禁断の惑星』のイドの怪物と同じ概念だ。それはどう見ても醜い。それをどうしたのか?を観れば、そのメッセージは明確だ。
もちろん、これはファミリー映画だし、ましてやディズニー映画だ。まっている結末はハッピーだ。だから安心して観てはいられるが、その味は人によっては苦いものになるだろう。
そこまでやるか、ディズニー!!
オヤジギャグで締めないとやってられんわ。
Ralph Breaks the Internet | Official Trailer 2
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