ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]
マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)のヒーローの一人であり、アベンジャーズ結成以前の1990年代を舞台にしたサスペンスアクション。クリー人の対テロリストエリート特殊部隊の一人であるヴァース (キャプテン・マーベル)はフラッシュバックで現れる幻影に悩まされながら、スクラル人から同胞を救出する作戦に参加するが失敗。スクラル人のボス、タロスから記憶を奪われそうになるが、辛くも脱出して、ロサンゼルスのビデオショップに落下する。そこで出会ったS.H.I.E.L.D.のエージェントの若きニック・フューリー共に自身に封印された秘密を探る。
第二次世界大戦には1000人程の女性戦闘機パイロットがアメリカには存在した。当時はもちろんプロペラ推進(レシプロエンジン)による戦闘機だ。それも戦争終焉前に空軍の規模縮小で解散して同じ時期にジェット推進の戦闘機の誕生で女性戦闘機パイロットの存在は完全に消えてしまった。女性には加速時や旋回時に大きな負荷がかかるジェット推進の戦闘機には適していないと見られていたからだ。もちろん、プロペラ推進の時代からの男性の偏見もあったのだろう。
1960年代後半に女性に自由・自立を求める女性解放運動ウーマンリブが起こり、男女同権の流れが軍隊にももたらされてジェット推進戦闘機の操縦に女性が不適格どころかむしろ男子よりも優位にあるのが研究で立証されて、1980年代から先進諸国で養成がはじまり1989年にカナダ空軍でジェット戦闘機の女性パイロット誕生により1990年代終わり頃までにアメリカにも女性戦闘機パイロットが誕生した。
長々と書いてきたのはキャプテン・マーベルことキャロルが戦闘機パイロットとして働いているのが1990年代であり、ドラマの感動ポイントもソコにあると考えているからだ。つまりキャロルと仲間のマリアがパイロットとして -- 詳しくは描かれてはいないが、おそらくは戦闘機乗りでも最新鋭機を操縦できるテストパイロット -- 活動した時期は男性パイロットからの偏見が一番激しかっただろうという事だ。そういった風潮に屈せずに自分の意思を通したのはキャロルが、何事にもくじけない「不撓不屈の精神」を持っていることであり、このドラマのポイントはキャロルがキャプテン・マーベルの能力に目覚めるところではなく彼女がその精神を取り戻すところにある。
この脚本の巧いところはキャロルが目覚める前に親身になっていた者も実はキャロルのその精神を「男らしさ」で押さえているところでフェミニズムの視点がさりげなくだが、ちゃんと盛り込まれているところだ。だから、あるキャラが男性的な解決(ハリウッド映画的ともいえる)で挑もうとするときのマーベルの回答に笑いながらも拍手喝采できる爽快さがある。もちろん、そんなに難しく見なくても女性が「カッコイイ!」と思ってしまえばこの映画のメッセージは伝わっている。
女性にとっての「カッコイイ!」こそが キャプテン・マーベルだからだ。
そして『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』以降のMCU特徴である時事問題に絡めた風刺もちゃんとある。
弱点もある。ヒーロー像が既に完成されているので成長や苦悩などの描写が無くて感情移入がしづらく「カッコイイ!」以外に楽しめるところが少ない。キャプテン・マーベルは意外にも『スーパーマン』的な王道かつ古典的なヒーローなのだ。だから人によっては物足りなさを感じるかも知れない。
オッサンとしてはOSがWindows 95ぽかったり、ブラウザーがNetscape Navigatorだったり、アクションシーンが映画『フレンチ・コネクション』風だったりのクスグりもあるのだが、そんなモノはオッサン以外には通用しない。そこでそんなあなたに別の見所ポイントを教えておく、猫のグースだ!
特に今作でのヒロインであるニック・ヒューリーとの絡みは「最高!」しかないので刮目して見よ!! しかない。
無論、今作最大の謎である、どうしてグースがそこにいたのか問題も『アベンジャーズ/エンドゲーム』で解明されると信じて「何じゃコレ?」な締めで終了!
追記:どうして『遊星からの物体X』が貼られているかって?フフフッ……。
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