えいざつき ~元映画ブログだったポエマーの戯言~

批評というよりも、それで思い出した事を書きます。そして妄想が暴走してポエムになります。

【ネタバレ有 (?)】父と娘の絆で危機を乗り切れ!『クロール 凶暴領域』

お題「最近見た映画」

ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]

 

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www.imdb.com

 

巨大ハリケーンに襲われた故郷フロリダで、大学競泳選手であり最近はスランプ状態にあるヘイリーは姉から疎遠になっていた父デイブの連絡が取れなくなっているの知ると、父を捜しに実家へ向う。そこで、地下室で重傷を負って気絶している父を発見。しかしその瞬間、ハリケーンによる冠水でワニ園から逃げ出した鰐がヘイリーを襲う。かくして鰐のテリトリーと化した懐かしい我が家で、浸水のタイムリミットが迫る中、ヘイリーとデイブの脱出という戦いがはじまる。

アレクサンドル・アジャ監督

 

ワニワニパニックだ!

 

でも、パニックになるのは主人公ヘイリーが、ワニさんと鉢合わせするときぐらいだし、血みどろ描写もあるにはあるがグロさは感じずホラー味も薄い。どちらかといえばスリラーに位置するところだ。個人的に思い出したのは初期のテレビゲームメタルギアの雰囲気に近い。メタルギアは「なるべく戦闘を回避しながら敵から隠れながら進む」のがプレイのメインになっていたが、『クロール』にそれを置き換えると「ワニさんつからないように脱出する」のが今作だ。展開もゲームぽっくてワンステージをクリアすると別ステージがはじまる。といったぐらいにゲーム的。

 

ちなみにヘイリーの父ことデイブのキャラ設定が、意外にも物知り博士で優秀。なにせ「脳みそは豆粒ぐらい」だとか「水音をたてなければ襲わない」だとか「排水口は危険だ」とか、やたらとワニさんについて詳しいから、てめぇはナショナルジオグラフィックのファンか!とツッコミを入れたくらいだし。

 

代わりにナショジオを観て無さそうな人たちはワニさんにパクパクされます。

 

危機の対処も手慣れたもので、身近な物で当て木を作ったり、布で的確に止血をしたり、時計を見ながら浸水時間を予測したりで、ものすごく冷静だったから。時間内に展開をサクサクと進めるマニュアル提示キャラとして設定されたのか?と考えていたら、アクション映画でいつもお世話になっている映画無駄話しーまんさんから重要なヒントをもらった。

 

 

なるほど、元軍人で特殊部隊の訓練を受けていたのなら、あの対処は納得はできる。脚本を書く上での登場人物における脇役のバックストーリーとしての設定なのだろう。

 

事実、ドラマの主軸は主人公ヘイリーにある。過去に父とのわだかまりで今は思うようなタイムが伸ばせないヘイリーが、それを「どうやって?」克服するかにある。つまり、いつワニさんに襲われるかもしれないサスペンスとヘイリーのドラマが二重奏のように並行して描かれる。ヘイリーとデイブの関係はワニさんさえいなければ、昔懐かしい野球マンガ巨人の星』の星飛雄馬や一徹みたいな梶原一騎イズム溢れるスポ根的な絆みたいに感じる。ワニさんさえいなければ。

 

つまりスリラー(ゲーム的)とドラマ(スポ根)が融合しているのが今作の魅力だ。何せラストはヘイリーにはすべてを打ち勝った勝利者としてのスポットライトが当たっているくらいなのだから。

 

 正直、「これってどーよ?」なツッコミもあるにはあるが、『ホーンズ 容疑者と告白の角』で演出の幅を広げた監督アレクサンドル・アジャのドラマと『ザ・ウォード/監禁病棟』の脚本マイケル・ラスムッセンとショーン・ラスムッセンの組み合わせが上手くマッチして上質なスリラーに仕上がっている。

 

それが、オーバーな物言いなら少なくともジャンル映画では今のところ最高峰だろう……

 

ワニ映画の!

 


Crawl (2019) – Official Trailer – Paramount Pictures

 

 

Crawl (Music from the Motion Picture)

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