ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]
個人的な話だが、何かしらの感想をブログで書いているとやっかいなのは「普通」という感情に出くわすこと。これが、どこか特出して良かったり、逆に酷すぎたりすればそのつどの感情のふり幅に従って書くこともできるのだけれども。それが「普通」であった場合。どうにも、その感情を表すのが難しい。特に最近は良くできた作品と酷すぎる作品を交互に観てしまったがために、「普通」をどう語ってよいのかが分からない。
ので、今回は自分にとっては「普通」だった映画の感想を書きます。一応にその基準として上げるのは、前回やった『クロール -凶暴領域- 』以下を「普通」基準にします。
「あの作品が、これ以下なのか!」と思う人もいるでしょうが、自分にとっては「ソーナンです!」と云いようがないので、そこはご了承ください。あと面倒なので今回はあらすじとかは書きません。
普通です!ドラマはテレビドラマでやりつくした感がある「遂げられなかった想いを遂げる」だし、脚本が『心が叫びたがってるんだ。』の岡田麿里なので、女性キャラはいつもどおり、ねっとりと描かれているのに対して男性キャラのアッサリ感が目について、『さよならの朝に約束の花をかざろう』に比べて後退しているのが逆にノイズになってこんな結果に。ここは監督長井龍雪の力及ばずと思うしかない。まぁ、キャラに肩入れがないとこんなもんです。
うん、普通だな!ただ、ここは「是枝裕和監督作品として」と注釈をいれるべきだろう。話題性が先行しているが、最近目立つようになった「老害喜劇」を大女優カトリーヌ・ドヌーヴを迎えて撮っているだけなのだから、あと、三大映画祭の主演女優賞を受賞し、ついでにオスカーも受賞した大女優ジュリエット・ビノシュの無駄遣い感も凄い。ドラマは自分の親もその域に達しつつあるので、収めどころも「しゃーがないな、コイツ」だ。是枝監督が数少ないが信じているフィクション、「みんなで何かを見る」もあって、そんな感じに。
やっぱり普通だ!製作が橋口亮輔監督『恋人たち』などの松竹ブロードキャスティングなので、リアル『カメラを止めるな!』の雰囲気をまとっていて、無名キャストの逆境を利用して今回も見事にやってのけた。のだけれども。ドラマとしては個人的に途中で、「これ、もしかして、デヴィッド・フィンチャーのアレと似てね?」な予想になり、そうなっちゃんで、こんな感じに。あとラストシーン、整合性が多少おかしくなっても交互に入れ替えて編集したほうが、もっとよくなったと思う。
最後に「これは凄い!」と思いつつも書きあぐねている挙げておくと……
『宮本から君へ』と『ハミングバード・プロジェクト 0.001秒の男たち』の二作。前者は「凄い!」と認めつつもガッツリと書くと、自分の精神がズタズタになりそうだし、後者は、その「凄い!」の根拠が自分の直感のみで、それをどう言葉にして良いのかが分からない始末なので、取っ掛かりが見つけにくい。そんな感じだ。
そんな締まらない締めなので、ここは牧伸二の「やんなっちゃった」の動画で終了!
牧伸二 「あゝやんなっちゃた」 タクト音楽祭Vol.4 (17)