えいざつき ~映画ポエマーの戯言~

批評というよりも、それで思い出した事を書きます。映画、SFが多めです。そして妄想が暴走してポエムになります。

【ネタバレ無】怪盗ルパンのプラトニックラブ『ルパン三世 カリオストロの城 4D版』

お題「最近見た映画」

ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]

 

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www.imdb.com

 

漫画家モンキーパンチが生み出した、今なお根強い人気があるキャラクター『ルパン三世』を題材にしたアニメーション映画。世界的な怪盗ルパン三世と相棒の次元大介モナコの国営カジノから大金を盗み出すが、それは幻の偽札ゴート札だと分かると、盗んだ大金を全て捨ててゴート札の震源地だと裏世界で噂されるカリオストロ公国に向かう。入国時、花嫁姿の少女が運転する車が悪漢に追われているのと遭遇して、ルパン達は少女を助け出そうとするのだが……。

宮崎駿監督

 

個人的な話からはじめる。

 

自分が最初に劇場で観た作品は『天空の城ラピュタ』だ。今でも覚えているが、劇場はガラガラだった。そんな中、学生の自分は『ラピュタ』に大感動して、後日2回続けて観たのだが、やっぱりガラガラで、「あぁ、この映画はこんなに面白いのにヒットしていないんだ」と思い。やるせなさを抱いた。後に『ラピュタ』がテレビ放送で徐々に人気になり、いわゆる「バルス祭り」で盛り上がる前の話だ。

 

何が言いたいのかといえば、今やヒットメーカーになり、そして世界的な名声も手に入れた宮崎もデビュー当時は批評家どころか、いわゆるマニアにも人気がなかったアニメ監督なのだ。このちょっとした体験が、「当時つまり現在の評価が正しいとは限らない」という自分の思考を形成させたところがある。-- もちろんマンガ原作の『風の谷のナウシカ』はヒットの実績はあったが、あくまでも生み出したマンガ(キャラ)人気であり宮崎自身の作風からくるネームバリューは低かった。

 

本題に入ると『ラピュタ』から入った自分はもちろん、テレビ放送やDVDなどで何度も観てはいるが、『カリ城』は『ナウシカ』と共に劇場は観ていない。ので、4D版公開を機に大画面で観ておこうと思って、いそいそと出かけたのだが、劇場は朝にも関わらず座席が半分近くも埋まっていて、宮崎ブランドの人気の確かさを改めて実感した。

 

このアニメ映画のキモは誰もがすぐに気づくとおり、ヒロインのクラリスだ。ルパンの仲間である石川 五ェ門に「可憐だ」と言わせた、その魅力に感じ入れば『カリ城』は楽しく観れるし、逆に魅力を感じなければ、何も面白く感じない。そしてこのアニメ映画の傷にも気が付く。ひとついえば、「宿敵であるカリオストロ伯爵は、あれだけ時間がありながら、どうしてお宝を探さなかったのか?」だ。まるで、最初から興味がなかったかの様だが、もちろんそれは矛盾している。

 

そして、こうした矛盾点を逐一あげて逆に宮崎駿の演出家としての手腕をほめたたえる向きもあるが、それはまた具体的にその手腕が何であるかを指摘していない、解らないと宣言しているのと同じでもある。

 

だからその部分を、もう少し考えてみれば、思うにそれは、当然だか意外だが、これもまた混乱するが、このアニメ映画は観終わった誰もが思う印象。「ルパンとクラリスの相思相愛ラブストーリー」であり、そして「中年の薄汚れた泥棒と純真無垢な少女は決して結ばれないメロドラマ」が実はこのアニメ映画の本質であり、ゴート札もカリオストロ公国のお宝も、主人公がそこへ向かう動機づけで設定されたマクガフィンにすぎないのだと。いうことなのだ。

 

それを裏付ける演出として、『カリ城』ではクラリスの顔に極端に大きく寄った画、いわゆるドアップのすべてが、彼女が酷い目(感情)に遭っているものばかりだったのにラストシーンのドアップになるとは誰もが心に残っている、笑顔(純真)のクラリスからも察しがつくし、ルパンが愛して守ろうとしたのも、そのクラリスなのだと理屈ではなくて心で分かる。

 

だからこそ、クラリスの告白をルパンは受け入れることはできない。そうすれば、それはルパンが愛したクラリスでは無くなるからだ。

 

もちろん、その気持ちは長年付き合っている奴らには丸わかりで、相棒の次元は「(泥棒家業を止めて)残ってもいいんだぜ」と言うし、宿敵の銭形警部は、「ルパンは貴方を愛しているから去ったのです」とは言わずに、銭形らしからぬ気障なあの台詞が出せる。つまり大人のメロドラマこそが『カリ城』で宮崎駿がやりたかった事だからだ。

 

それはこのアニメ映画が、表向きは冒険と活劇の糖衣で包んではいるが、中身は中年男の純情を描いたドラマでもあるからだ。

 

ちなみに4D版は個人的にはちょっともの足りなかった。中身が中身だから当然なのだが、自分は細かい所が気になるところがあるのでそう感じたのかもしれない。そして、これも個人としての所感だが、4Dと4DXはフィルムの質感ではなくデジタルの方が相性が良いとも感じた。

 


The Castle of Cagliostro (Remastered) - Official Trailer

 

 

ルパン三世 カリオストロの城 オリジナル・サウンドトラックBGM集

ルパン三世 カリオストロの城 オリジナル・サウンドトラックBGM集

 

  

   

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