えいざつき ~映画ポエマーの戯言~

批評というよりも、それで思い出した事を書きます。映画、SFが多めです。そして妄想が暴走してポエムになります。

【ネタバレ有 (?)】終末の物語『ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密』

お題「最近見た映画」

ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]

 

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www.imdb.com

 

世界的ミステリー作家ハーラン・スロンビーの85歳の誕生日パーティーが彼の豪邸で開かれたその翌朝、ハーランが遺体となって発見される。依頼を受けた探偵ブノワ・ブランは、事件の調査を進めていくことになった。容疑者は莫大な資産を抱えるハーランの子どもたちとその家族、家政婦、専属看護師。やがて遺言書が開示されてその遺産相続人が明かされた時、裕福な家族の裏側に隠れたさまざまな憎悪が露わになっていく。

ライアン・ジェイソン監督

 

注意:できる限り内容への言及は避けますが、抵触しそうな可能性もあるので、純粋にこの映画を楽しみたい方には、ご遠慮くださるようお願いします。あと空白の部分は反転してお読み下さい。

 

いきなり感想から云ってしまえば、「ああ、批評家が喜びそうな映画だな」ってこと。

 

ドラマそのものはよくできているし、俳優陣が演じている人物達も、いわゆるキャラ立ちをしているし、表現空間もポン・ジュノの『パラサイト 半地下の家族』ほどじゃないにしても、美術は見事なものだし、それにこれも『パラサイト』同様、展開はシリアスではなくコメディモードなので娯楽としても気楽に観れる。(くどいけども)後述すると批評家が喜びそうなくすぐりもある。

 

しかし、自分の感情を付け加えると王道ミステリーと銘打っていたので、その心持で観ていたら、そうじゃなかったので肩透かしを食らったところがあるのも確かだ。ジェイソン監督は宣伝で「アガサ・クリスティーに捧げた」なんて言っているそのとおりなのだが、クリスティーで例えるとポワロやミス・マーブルの本格謎解きトリックに『検察側の証人』や『そして誰もいなくなった』などの叙述トリックを組み込んでくるという癖玉ミステリーだった。

 

まあ、そこの処は自分が購読しているレクさんのブログを読んでもらった方が早いし解りやすい。ただし当然のごとくネタバレにはなるので、そこは注意!

 

www.tsotl7.com

 

そこで、今回自分はサクっと批評家が喜びそうだなと感じた後述の部分だけ書くことにすると。これはアメリカ社会で白人が支配階級(エスタブリッシュメント)から転落する寓意として描いているドラマだからだと自分は見立てているから。最初の方でスロンビー家の人々が移民についての談義をしている流れから察することだが、ここから行き着くラストへの展開は『ターミネーター:ニュー・フェイト』の時にも書いたけれども将来アメリカの人口比が非白人層(移民)が白人層を上回る予想が確定されているから。これからのアメリカ社会は非白人層が中心となってゆき白人層はそれに従うしかない社会構造になるのも決まっているから。つまり、アメリカの財産(スロンビー家の財産)を継ぐのは白人(スロンビー家の人々)ではなくて、非白人(移民)であるマルタになるのを示しているからだ。

 

だからラスト前に、こんなどうしようも無い一族なぞ見捨ててしまえばいいのに看護師のマルタが「私が何とかしなくては」みたいな台詞を喋るし、ラストシーンでロンビ一族の人々をマルタが屋敷のテラスから見下ろす件は「貴方(白人)の時代は終わったの」という映画からのメッセージとして受け止めた方が通りが良い。これは人を救う救世主(イエス・キリスト)は人を抑圧する支配者とのコインの裏表である。と描いた『LOOPER ルーパー』や論争を巻き起こしたフォースの世俗化をやった『最後のジェダイ』を撮ったライアン・ジェイソン監督らしい知的な捻りだと自分は考えているし、その部分に批評家等の関心を誘ったのは間違いないとも思っている。

 

そして個人的には、どうやら今作でジェイソン監督の作風が見えてきた気がしたのも収穫かな、とも。

 

特にいい締めの言葉も見つからないので、このまま終わります。

 

参考

「アメリカの移民問題を考える」(視点・論点) | 視点・論点 | 解説アーカイブス | NHK 解説委員室

  


Knives Out (2019) New Trailer – Daniel Craig, Chris Evans, Ana de Armas

 

 

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