ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]
今日のポエム
お前の縄張りを盗ったるわ!
映画とはポエムです!ポエムとは映画でもあります。それでは大いにポエムちゃいましょう!
そして、今回は
そして、今回のキーワードは。
1880年代のマウント争い!
今回はネタバレスレスレかな?史実だし。
『エジソンズ・ゲーム』はひとつ弱点があって、それが最後まで修復されずに終わってしまっているので、自分好みの「科学・技術賛歌」、「ものづくり賛歌」にもかかわらず、イマイチのれなかった。
その理由はあとで書くとして、メッセージは何となくだが分る。物語としてはエジソンが構築した直流送電システムは電圧が低く発電機を多く置かなければいけなかったのに対してウェスティングハウスが構築した交流送電システムは高い電圧で遠くから各所に送り、その手前で変圧という方法で電圧を抑えるので、直流システムよりも発電機を置かなくて済む利点で描かれて -- それで劇中のエジソンが「人殺し」と騒いで、最後には引くに引けない事態まで行ってしまう -- はいるが、高い電圧を送って各所手前の家庭で電球程度の電圧と工場を動かすほどの電圧のそれぞれに分けなければいけない方法を考案しなければ、エジソンの直流システムに対しての差別化としての勝機はない。と考えているウェスティングハウスとそれが実現できずに苦悩する姿が描かれていて、そこにニコラ・テスラが絡む展開になっているのだが、別の見方をすれば、これは20世紀に行われたある「戦い」と似ている。
それは、アップルVSマイクロソフトの戦いだ。
それは冒頭で示されている。エジソンが電灯を光らせるデモンストレーションを行うシーンだ。今でいうところのプレゼンだ。
つまり、ここでのエジソンはスティーブ・ジョブズなのだ。
ジョブズとはもちろんインターネット&デジタルデバイス関連商品のアップルの創始者のひとりであるジョブズだ。iMacやiPadなどのスタイリッシュさはジョブズしか分からない美観からなるビジョンから登場した製品なので、それ故にワンマンにならざるを得なかった人物でもある。-- ちなみにこの映画ではジョブズが考案したipodと同じような発明をエジソンがしてドラマを終わらせる。
そのジョブズは当初マッキントシュとmacOSで世界のパソコンを制しようと考えたが、上手くゆかなかった歴史的な事実なのは30代後半以上なら誰でも知っている。
映画に戻ると、大事なポイントはエジソンが作り上げたのは電気ではなくて電力の併給システムだというところだ。今でいうインターネットだ。
そこでエジソンがやったのは直流というプラットフォーム作りなのだ。
つまり、ひとつのプラットフォームを構築してしまえば、主導権は握れる形になるので、どんな取引企業よりも優位に立てる。これはネットビジネスのAmazon強さを思い出せば直観として分かる。 そして何より自分の美観が世界を変える。という快楽は何物なく最高なのは決まっている。-- それは序盤の方で画として表れている -- どう見てもジョブズだ。
それに対するここでのウェスティングハウスは、やはりビル・ゲイツに決まっている。
マイクロソフトの創業者であるゲイツは美観というよりもビジネスにビジョンを置く人物だ。だから、既に登場していたBASICでプログラミングできるパソコン(当時はマイコンと呼ばれていた)を作って一般に普及させたし、ソフトを総合的に管理して動かすOSオペレーションシステムを他から買い取り、後のWindowsに繋がる道を作った。つまりOSというプラットフォームを作り、どの取引企業よりも優位に立てて世界のパソコンを制した。
そして、今作のウェスティングハウスの立ち位置がゲイツなら、今作のジョブズことエジソンで、これは「直流vs交流」という1880年代でのプラットフォーム争いのかたちのドラマになってしまうのだ。それは「美観vsビジネス」でもある。
そこで、今作の弱点であるドラマの読み込みつらさなのだが、自分も偶々にジョブズとゲイツの争いを憶えていたから直感できたのであって、その知識が無い人にはわかんねーよ!
脚本も監督も冒頭からのエピソードを描くことで「ここでのエジソンはジョブズみたいな人てす。だから、このドラマは判りますね」のメッセージを投げかけてはいる。
わかんねーよ!
ただ、画づくりは比較的にシッカリしているのでドラマとしては物足りなくても最後まで観れてしまうのが取り柄といえば取り柄だ。-- さすが、撮影監督が『オールド・ボーイ』、『お嬢さん』などのチョン・ジョンフンだけはある。
そこで、今回は特別に自分の独断で、この映画の見所を上げる。それは……
マイケル・シャノンを愛でろ!
この映画は『テイク・シェルター』や『ドリーム ホーム 99%を操る男たち』につづくマイケル・シャノンの演技を楽しむ作品だ。あんなマイケル、こんなシャノンを108分間、堪能しよう。
ただ、彼だけでは胸焼けするしてしまうから、たまにベネディクト・カンバーバッチ、トム・ホランド、ニコラス・ホルトで箸休めとしてメインはシャノンだ!
もう電流カンケーネー!
劇場で鑑賞。
THE CURRENT WAR: Director's Cut | Official Trailer 2 | 101 Studios