ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]
今日のポエム
国の自慢?なら徹底的にやってやる!
映画とはポエムです!ポエムとは映画でもあります。それでは大いにポエムちゃいましょう!
そして今回のキーワードは
熟達の腕をとくと見よ!
今回はネタバレスレスレ
期待しなかったためか意外と面白い!
本作は2018年5月重慶から離陸したエアバス四川航空8633便が飛行中コックピットの右席のフロントガラスが突如壊れて極度の圧力変化と低温で、電子機器の故障、通信不能に陥ったが、その危機を乗り切った実話を基に、機長他クルー等の奮闘を英雄的行為として描いた物語だ。
そして、本作は誰もが判るとおり、中国の国威発揚映画だ。国策映画ではない。
早い話が我国万歳!
国策映画は国の政策を国内外に宣伝するのが目的だが、国威発揚映画は「おらの國は本当に凄い」と、遠回しの自慢を披露する作品群であり、それは今でもどの国にもあるものだ。もちろん日本もある。自分の記憶だと『黒部の太陽』(1968)が思い出すし、最近なら『Fuksima 50』(2020)がそれになる。
そして、みんな大好き『バトルシップ』(2012)や『世界侵略:ロサンゼルス決戦』(2011)などの作品は一見破天荒でも明らかに国威発揚だ。ただ、流石にハリウッドは過去にこの種の作品を数多く作って来ただけあって、そこに潜む臭味を脱臭するテクニックに長けているので気が付きにくいだけだ。
本作もそんな国威発揚な部分を、大空へのロマンチシズムを強調することで脱臭しようとはして入るのだが、中国という目新しさか場馴れしていないせいなのか、両方なのか分からないが、ぎごち無い。それでも『Fuksima 50』よりも巧みなのは確かなのだが。
また、事故に入ってからフィクションの部分が濃厚になるのが何となく察する事ができる弱点もある。本来なら15分くらいしか持たない酸素マスクが結構長く描写されているし、ピー、ゴロゴロに突入するのは素人でも察知できるくらいにあからさま過ぎる。
でも国威発揚なので、そこは百も承知でやり切って、中国航空関係者のプロフェッショナルぶりをシッカリと描き、搭乗者をベタが -- この辺りが場馴れしていない例 -- つくくらいステレオタイプとして描いて観客のカタルシスを得るようにしている。
早い話、本作のドラマは薄っぺらい。ただ、昨今の「泣かせば観客は満足してくれる」な邦画に比べれば、ちゃんと技巧を使っているので、コチラの方がまだ、まともだとも言える。流石、『インファナル・アフェア』(2002) の監督だ。
後、随所に飛行機あるあるなトリビアが仕込んである節があってマニアなら本作をより深く楽しめるのかもしれないが、自分にはそれが足りなかったので冒頭の感想に戻る訳だ。
劇場で鑑賞。
THE CAPTAIN (2019) Official Trailer | Based on a True Story