ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]
孤高の暗殺者ブラック・ウィドウ(スカーレット・ヨハンソン)の前に、ある日突然「妹」のエレーナ(フローレンス・ピュー)が現れる。二人は自分たちを暗殺者に仕立て上げたスパイ組織レッドルームの秘密を知ってしまったため、組織から命を狙われていた。姉妹が頼れるのは、かつて組織によって作られた偽りの家族しかなかったが、レッドルームの陰謀はこの「家族」の再会に仕組まれていた。
シネマトゥデイより引用
映画とはポエムです!ポエムとは映画でもあります。それでは大いにポエムちゃいましょう!
今日のポエム
007とホームコメディ
今回はネタバレスレスレの回顧解説モード。
最近、思うところがあって、ディズニーの映画は語らないようにしていたのだけども、今回は自らの禁を破って書いてみたい。他の人はどうでもいいこだわりだし。
何故かっていうと、面白いつまらない以前に、本作に対して、ある種の懐かしさを感じたから。
だって007シリーズなどの荒唐無稽スパイ映画の要素。というか匂いが本作にはあるから。
事実、本作にチラリと出るのは007シリーズでも一番荒唐無稽な『ムーンレイカー』(1979)なので、「これ、荒唐無稽なスパイアクションですよー」と作品から宣言しているのは確実。
本作で描かれている陰謀も『女王陛下の007』(1969)風。
ましてや、あのシーン……(沈黙)
最近は本家007も「人を殺して捨て台詞」的な感覚が無くなって妙にシリアス路線なので、こうゆう面白さを味わえるのは『ワイルドスピード シリーズ』くらいなのだけれども、あれのヤンキーな空気は自分にはチョット合わなくて……なぁ。(ただの愚痴)
そして、中盤のファミリー再登場になると本作はホームコメディの要素が足される。
ホームコメディなので、揃ったアノ人々達の掛け合いの妙味で楽しませる。早い話がテレビアニメ『サザエさん』とほぼ同じ。ハッキリいってお笑いだ。
そのホームコメディで何が描かれているのかというと、ズバリ父権の解体。ここで笑いの対象になっているのは主に父親役だから。ここで彼はケチョンケチョンに笑わされ、ファミリーの長として父権をフニャフニャにして、クライマックスへの布石にする。
そのクライマックスで父権を最悪&醜悪にした形にしたラスボスが登場する。そして、ウィドウことナターシャはそいつに反撃ができない状態に陥るのだが、それは明らかに父親からDVを受けているのに反抗できない子供の構図になっているからだ。
ちなみに、そのラスボスも007での最大の敵役ブロフェルドを思わせるところがある。
そうしたのは、もちろん父権を中心としたファミリーのあり方の解体であり、新たなファミリー像の提示へと繋がるのは間違いない。
でも、それが旧MCUとナターシャの最後と繋がると本作のドラマが弱くなるし、あのキャラが新MCUとどう繋がるサスペンスな引きが本作そのもののドラマを不明瞭にしているところがある。そしてさらに後半に強烈な一撃が加えられるシーンがあるのでなおさらに不明瞭になってしまう。そこが本作の弱点。
また、これも個人的な愚痴の類だが、本作も含めて今まで男向けだったジャンル映画のフォーマットが女性向けとして仕立て直されて制作されている昨今、そうゆう作品を男性の自分が冷静に評価できるのか?という戸惑いもある。特にハイティーン以上を対象にした『チャーリーズ・エンジェル』(2019)や『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』 (2020) これらは男の自分が面白くなくても、反転してみれば女性向きのジャンル映画(←ココ大事) であるので、女性が面白いかどうかが肝心だからだ。
今回は007があったし、対象はローティーン以上からなので、それをフックにして何とか語ることができたのだけども、これからはどうなるのか?…… 。
とにかく、こんな感想でした。
劇場で鑑賞。