えいざつき ~元映画ブログだったポエマーの戯言~

批評というよりも、それで思い出した事を書きます。そして妄想が暴走してポエムになります。

戦国自衛隊 (1979)

お題「ゆっくり見たい映画」

ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]

 

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伊庭三尉を隊長とする二十一名の自衛隊員は、日本海側で行なわれる大演習に参加するために目的地に向かっているとき“時空連続体の歪み”によって四百年前の戦国時代にタイム・スリップしてしまった。東海には織田信長が勢力を伸ばし、上杉、武田、浅井、朝倉らが覇を競いあい、京へ出て天下を取ろうと機をうかがっていた時代。成行きから彼等は、のちの上杉謙信となる長尾平三景虎に加担することになり……

映画.comより引用

 

 今回はネタバレなしの解説モード。

 

今回はちょっと急遽変更して先頃お亡くなりになった千葉真一が主演・アクション監督をした本作ついて書いてみたいと思う。

 

本作はあの角川映画のはじめての正月映画であり、公開年にはいわゆる『スターウォーズ (エピソードⅣ 新たなる希望)』からはじまったSFブームの渦中であり、原作者がSF作家でもあった半村良の中編小説からの映画化だったのでSFプロパーからは「ようやく日本にも特撮に頼らない物語で楽しめる」作品として期待されたが、いざ公開されたら原作とは違う改変に戸惑いを巻き起こした。

 

原作は戦国時代に自衛隊が入る事で起きる歴史改変に面白い解釈できれいに収めているのに対して本作はその改変に妙なひねりを加えたからだ。

 

実は本作のドラマは二つのレイヤーが存在している。それは……。

 

A:武器を装備しているといえども、専守防衛を基にその使用を禁じられている自衛隊という組織を戦国時代に放り投げる事で思う存分に戦わせる。-− これは原作者半村良の目論見でもある

 

B:若者を中心とした青春群像劇を描く。-- だから配役もその当時、青春ドラマなどに出演していた俳優・歌手を揃えて、『アメリカン・グラフィティ』(1973) な雰囲気にして、それらしい歌も使って作る。

 

Aは分かる。

 

でもBは何?

 

このBの部分がSFプロパーを戸惑わせた。そのせいでもないだろうが、ラストは原作とは大いに違う。なのでその評価は「内容はヘンだが、意気はよし」みたいなのに落ち着いている。

 

 

そして、批評家からも高い評価ではなかった。「アクションは良いがドラマが悪い」とかが一般的だったのだ。それは当時、角川映画はその方面からは格下と考えられていた時期でもあったからかもしれない。

 

でも、本作はそうゆう人々とは別の者達に強烈に支持された。

 

そうでなかったら、2005年に『戦国自衛隊1549』の映画や2006年のテレビドラマ『戦国自衛隊 関ヶ原の戦い』とかないはずだろうし、田辺節雄や森秀樹の劇画もある訳がないだろうし、世界線が繋がっている外伝小説まで存在するはずがない。

 

戦国自衛隊はもはやSFや映画のジャンルから外れ戦国自衛隊というカテゴリそのものになったと断言しても良い。

 

ブレードランナーに匹敵する人気を持っているのが戦国自衛隊なのだ!

 

ブレードランナーに石を投げる者こそが戦国自衛隊にも石を投げろ!!

 

さて、これだけ熱狂的な人々に支えられたのは、やはりAとBのレイヤーだけではなく、やはり日本ではじめてアクションシーンにコーディネーター、つまりアクション監督を務めた出演もしていた俳優の千葉真一が考えたアクション、特にクライマックスの自衛隊vs武田軍との合戦が当時としては斬新だったからなのは間違いはない。第一に最新兵器と時代劇という組合せこそが斬新なのだから。

 

ただ、そこに「最新兵器で一方的に殺される戦国武将(人々)達」の構図にせず、「最新兵器に知力と圧倒的な人的物量で対抗する戦国の人々」にする事で結果として今までとは変わった新しいスリルとスペクタクルが生まれている。この感覚は後々の谷垣健治がアクション監督を務めた『るろうに剣心』(2021) までは無かったと言いきってもよい。 

 

またその結果、本来なら重なるはずのないAとBとのレイヤーが重なるという奇跡なのか悪魔なのかは分からないが、そうなってしまい不思議な魅力が放たれている。事実、その後に作られた物語とドラマとしてはちゃん筋をとおして作られている『戦国自衛隊1549』と『戦国自衛隊 関ヶ原の戦い』は本作に比べてとーーっても弱い。

 

そしてそれはアクション俳優として世間では認められ、アクションシーン向上のために自ら立ち上げたジャパンアクションクラブ (現在:ジャパンアクションエンタープライズ) の力を集結した千葉真一のひとつの到達点でもある。

 

ーー 個人的に特に取り上げたいのは、後に十八番スタントになったが、まだ新人だった頃の真田広之が飛んでいるヘリコプターから飛び降りるシーン。

 

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戦国自衛隊 (1979)

このスタントはもちろんワイヤーとかも使っていない。もちろん着地点の旗の下に衝撃を柔らげる段ボールとかマットとかをカモフラージュとして置いているらしいのだが。

 

それが本作だ。

 

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戦国自衛隊 (1979)

そして個人的な考えを言うのなら、その時代時代での何某かのお偉いさんの評価は気にするな、ただそれを愛すれば良いのだ!と。

 

そうすればどんな作品でも名は残る。と。

 

誰かの言う事など聞く耳を持つな。惚れたのならただ愛せよ。

 

戦国自衛隊』が今でも人気なのはそれしかないからだ。

 

DVDで鑑賞。

 

 

  

 

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