ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]
ヒーローチームが不在となった地球で、人類の行動が新たな脅威を呼び起こしてしまう。そんな中、7,000年にもわたって宇宙的規模の脅威から人類を見守ってきたエターナルズと呼ばれる10人の守護者たちが、数千年の時を経て次々と姿を現す。散り散りになっていた彼らは、人類滅亡まで7日しかないと知って再結集する。
シネマトゥデイより引用
映画とはポエムです!ポエムとは映画でもあります。それでは大いにポエムちゃいましょう!
今日のポエム
是枝とマリックと石ノ森
今回はネタバレスレスレの通常解説モード。
注意:今回は核心に迫るネタバレは避けていますが、純粋に作品を楽しみたい方には読まないことをお勧めします。
いやークロエ・ジャオだった!
結論です。感想です。
なんでかって言うとヒーロー映画&アクション映画の定石を実に見事なまでに外してドラマを展開させているからだ。あの手にありがちな、改心して戦うとか、ピンチになったら現われるとかのお約束な場面がまったく無い。
代わりに繰り広げられるドラマは、ある現実に反射されるかのようにヒーロー達の内省的ともいえる葛藤が延々と綴られてゆく。アクション映画ならぬリフレクション映画。
それが本作、そしてジャオ作品。
そうなったのはおそらく、MCUだと動じずに、いつもの通り脚本を最初からガッチリと作らず、大まかなプロットだけを立ててエターナルズを演じる役者の心情に合わせて個々の展開や台詞を紡いだ『万引き家族』の是枝裕和を思わせる演出術と、アクションは描かずリフレクションのみを描こうとするジャオ監督が敬愛してるのであろうテレンス・マリックの影響が大なのだろう。
けど、現実を背景にしていた『ザ・ライダー』や『ノマドランド』に比べて架空の背景の本作だと少し分が悪い。
最近同じ事をヴィルヌーヴの『DUNE/デューン 砂の惑星』でも言っちゃたけど気にするな!
でもそこから生まれたのは、壮大さと繊細さが同居している不思議な仕上り。
なので、自分のガラじゃないなと思いつつも頭から批判できない感じ。
実は観終わった時に連想したのは漫画家石ノ森章太郎のSFだった。
石ノ森というと、誰もが思い出すのは特撮ヒーローの原作者であり、テレビドラマ『ホテル』の原作を思い出すだろうが、初期の作品群では子供受けするヒーローも描きながら、その内容は繊細で内省的ともいえるドラマをやっていた時期もあった。
その中でも本作は『サイボーグ009』に近いところがある。特にそれはシリーズ後期の天使編(未完)の方。
(画像は二つともネットから)
その内容は語る事ができない。何故なら両方のモロなネタバレになるから。
しかし、両方とも壮大さと繊細を合わせ持っているのは確かだ。
この石ノ森SFの部分がささくれのように気になって簡単に批判できないところ。
まぁ、009を抜いたとしても神話的叙事詩として楽しむのが吉で、間違ってもヒーロー&アクションとしての高揚感を期待してはいけない。(画像はIMDb)
何か、こう大きな流れに身を委ねるかの様に感じるのが大事。
まぁ、多様性と共生を古代神話からの題材を取ることで、強圧的(男性性)ヘモゲニーからの脱却をメッセージとして込めているのかもしれないけど、その辺は自分よりも頭の良い人に任す。
だってジャオだもの!(謎な締め)
劇場で鑑賞。