ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]
第2次世界大戦中の1943年。連合国空軍の女性大尉モード・ギャレット(クロエ・グレース・モレッツ)は、最高機密をニュージーランドからサモアへ運ぶ任務を上官から下される。フールズ・エランド号と命名されたB-17爆撃機に乗り込んだ彼女は、男性乗務員たちから侮辱的なことを言われ、銃座へと押し込められる。その機内で、モードは右翼にまとわりつく謎の生物を発見する。
シネマトゥデイより引用
今回はネタバレスレスレの誉め解説モード
注意:今回は核心に迫るネタバレありませんが、シーンの解説をしているので、純粋に楽しみたい方にはお勧めできません。
拾い物的な面白さだったよ!
そんな本作の見所はたったひとつ……
クロエがグレムリンをボコります!
グレムリンというのは、「光をあててはいけない。水をかけたり、濡らしてはいけない。真夜中に食事を与えてはいけない」のグレムリンではなくて。ノームやゴブリン系統にあたる機械を壊す怪物の事で、第二次世界大戦の辺りから飛行機にとりつく怪物として世間に認められるようになった。
そのイメージは『トワイライトゾーン/超次元の体験』(1983) でのエピソードのひとつ『2万フィートの戦慄』で描かれているのと同じであり、本作もそのグレムリンラインにそっている。
実際、第二次世界大戦前からどんなに整備を整えた航空機からも、人の手の届かない部分から故障が起こる事例があって、それが、むくつけき男共の集まりである爆撃(戦闘)機乗りが長時間からの戦闘のストレスと目まぐるしい高さからくる幻覚が融合して現在のような姿となって定着している。
グレムリンについて語ったのは本作にとっては、単なる怪物以上の意味をもつからだが、それは一旦わきに置いて、本作の意図は明白で、有害な男らしさの糾弾。なのだというところ。
ファッキン マチスモ!
全編にわたってそんな感じ。
まずは前半、クロエ演じる主人公が席がないから、狭い下部銃座へと押し込まれて、そこで機内通話で上にいる男共の猥雑で卑猥な会話しなければならない状況になる。人によっては長く感じるかも知れないが、ここは重要で、そここそが、まさしく有害な男らしさに抑圧された女性の感情を視覚化しているシーンでもあるからだ。
そこを描いて後に登場するのが、アヤツラとグレムリン。ココから派手なシーンの釣瓶撃ちが続く。
やくざ映画でいうところの、耐えて耐えて耐え抜いて、後半にスカッとさせる。
いわゆるヌキが良いって。こうゆうコト。
さて、一旦の部分について語れば、むくつけき男共こと有害な男らしさが支配している爆撃機乗りが、唯一怖がっているのがグレムリンだというのが冒頭のアニメで語られて、それがクロエと対決する構成はどう解釈しても、こうなる……
ファッキン マチスモ!
脚本家のクレジット表記はダブルだが、基は『エイリアン』(1979) 『ブルーサンダー』(1983) などの脚本を書いたダン・オバノンの原案が紆余曲折があって結果として女性監督ロザンヌ・リャンが書いた本作は監督の色が強いモノとなっているのは自分でも分かる。
まさしく女性のための映画。ワテら男はあくまでも脇でヤンス。(なぜか大阪&滋賀弁)
ようするに、本作は女性のためのホラーアクションになっている訳だ。
メイン層がそこなので、自分みたいな男は、どうでもいい存在に位置する。むしろ女性こそが本作をドンドンと観るべきなので、男共は女性等に強力にお勧めすべし。
デートムービーでもよし!
(画像はIMDbより)
劇場で鑑賞。