えいざつき ~元映画ブログだったポエマーの戯言~

批評というよりも、それで思い出した事を書きます。そして妄想が暴走してポエムになります。

バブル

お題「ゆっくり見たい映画」

ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]

 

 

www.imdb.com

 

物語の舞台は、世界に降り注いだ泡(バブル)によって重力が壊れ、ライフラインが断たれた東京。家族を失った一部の若者たちの遊び場となった東京では、パルクールのチームバトルが繰り広げられていた。そんな世界で、ある日、危険なプレイスタイルで注目されていたヒビキが、プレイ中に重力が歪む海へ落下してしまう。そんなヒビキの命を救ったのは、突如現れた不思議な力を持つ少女・ウタ。この2人の出会いが、世界を変える真実へとつながる……。

シネマトゥデイより引用

 

今回はネタバレスレスレの解説モード

 

感動しました。

 

特に死体切断されたヒロインの少女・ウタから流れ出る臓物を主人公ヒビキが一生懸命かき上げて元に戻そうとしたシーンは涙無くしては見れませでした。

 

……………………ウソです。

 

本当は泣かずにニコニコ!(^^)!と見ていました。

 

さて、本作は劇場より先行して動画配信サービスのNetflixで公開されていて、自分もそこから観始めたのだが、途中で「これは劇場で観た方が楽しいやつだ」と気がついて、いったん止めて、近場の映画館で観たのだが、これがドンピシャの大正解。

 

楽しいやつだったわ!

 

キャラデザ原案の小畑健と原画&動画のWIT STUDIOの仕事がマッチしていい感じ。

 

そして、ヒビキとウタのアクションは美しく映えながらも同時に二人の気持ちが通じ合うラブシーンにもなっていて、まぁ見事。

 

その本作のウリであるアクション。パルクール、フランス発祥の身体を使ったエクストリームスポーツをモデルにした架空のスポーツ。ここではバトルクールと呼んでいる。

 

それを異常変動で激変した東京を若者達が駆け回るこのアニメはドラマを楽しむといった態度よりも登場するキャラ等の動き回るのを楽しむのが吉。

 

ルールが良くわからないとかいうな。雰囲気でいいんだよ。

 

アメフトを模したローラーボールとかサルート・オブ・ザ・ジャガーみたいなモン。

 

あれにルールとか細かくみていた奴などいないだろ。

 

いないだろ! (協調)

 

正直、このコンセプトで突っ走れば、上記の二作に匹敵する作品になったかもしれない。

 

本作を作ったのはテレビアニメ『進撃の巨人』で頭角を現した荒木哲郎。いまさらだが『進撃の巨人』とは人を喰う巨人を相手に小さな人間が空中を自在に飛び回る事ができる立体機動装置を使って巨人を倒すというコンセプトだ。-- もちろん弱点はある。

 

または、これも荒木のテレビアニメ『甲鉄城のカバネリ』。これはカバネという噛まれたら人が化物になる -- 速い話ゾンビ -- 奴らに支配された世界でカバネに噛まれたのにもかかわらず人間の記憶と感情を持ち合わせている主人公等が生き抜く物語。

 

つまり荒木哲郎はホラーアクションを得意としている。

 

そして脚本は虚淵玄。正確には大樹連司佐藤直子との共同。なのだが、やはり本作も虚淵虚淵イズムなるモノが滲みでている。

 

簡単に言ってしまえば、「自由意志を抑圧するシステムに対する反逆」をモチーフにずっと物語とドラマを書いてきた脚本家が虚淵だ。

 

虚淵イズムについてはここに書いた。

eizatuki.hatenablog.com

 

そして本作でも、ウタの設定にそれが現れている。

 

バブルという群体の歯車でしかなかったウタがヒビキと出会う事で主体性が芽生え人の姿となって現れるのはそうゆう事だ。虚淵にとって人間とは姿かたちなのではなく自由意志を持っている存在となっているから。

 

荒木と虚淵。ぶっちゃけ、この二人が好むモチーフから見えてくる節点とは、人間が人間をすてて人間以外の何かになることを阻止すること。

 

これは、自分の考えではなく、本作でもマコト (ちなみに女性キャラだ) が、二つの何かが衝突して爆発して、また散りじりになってゆくイメージを星雲を使ってウタとヒビキに教えるシーンで一目瞭然。

 

超どうでもいい余談だが、この説明でピンと来なければ湯浅政明監督作『夜明け告げるルーのうたを思い出してもいいし、いっそ『崖の上のポニョ』のまんまだと考えてもいいぞ。

 



-- この二作も『人魚姫』だしな。

 

なので映像も、バブルの姿を醜悪のイメージで描いている。

 

バブル (画像はIMDbより)

もうホラー作品の設定でせつないボーイミーツガール。こと『君の名は。』をやろうとしているのがミエミエ。

 

あるいは、立体機動装置で『君の名は。』でもよし。

 

そんな、企画を立てたのは川村元気。もちろん『君の名は。』を大ヒットさせた東宝のプロデューサー。

 

お前かー!

 

でも、おそらくは川村としては決して奇をてらった企画ではないだろう。何故なら彼は作家でもあるのだが、某名作ホラー作品のアイディアを使って、せつない系の感動作を執筆しているからだ。映画にもなった。

 

 

 

だから、ホラーの設定でせつないボーイミーツガール感動作をやろうとしたのは間違いない。(キッパリ)

 

ちなみに、本作に近い作品は18禁ゲーム。いわゆるアダルトゲーム『沙耶の唄』のアイディアとプロットをボーイミーツガール向けと変換したものだと思われる。内容を知っている者なら一発で本作との相似に気がつくだろう。

 

しかし、興味を持って調べたりしてはいけない。ゲロを吐くぞ。

 

一応注意喚起はしたぞ。

 

でも、ひとつキツイことを言っておくと、そろそろボーイミーツガール設定はやめたほうがいい。この物語とドラマだと、そうゆう風にしなくても成立するモノなので。

 

VOD&劇場で鑑賞。

 

 

 

 

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