ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]
ストーリー
経営するコインランドリーは破産寸前で、ボケているのに頑固な父親と、いつまでも反抗期が終わらない娘、優しいだけで頼りにならない夫に囲まれ、頭の痛い問題だらけのエヴリン。いっぱいっぱいの日々を送る彼女の前に、突如として「別の宇宙(ユニバース)から来た」という夫のウェイモンドが現れる。混乱するエヴリンに、「全宇宙にカオスをもたらす強大な悪を倒せるのは君だけだ」と驚きの使命を背負わせるウェイモンド。そんな“別の宇宙の夫”に言われるがまま、ワケも分からずマルチバース(並行世界)に飛び込んだ彼女は、カンフーマスターばりの身体能力を手に入れ、全人類の命運をかけた戦いに身を投じることになる。
スタッフ
監督ダニエル・クワン ダニエル・シャイナート
製作ジョー・ルッソ アンソニー・ルッソ マイク・ラロッカ ダニエル・クワン ダニエル・シャイナート ジョナサン・ワン
製作総指揮ティム・ヘディントン テレサ・スティール・ペイジ トッド・マクラス ジョシュ・ラドニック ミシェル・ヨー
脚本ダニエル・クワン ダニエル・シャイナート
撮影ラーキン・サイプル
美術ジェイソン・キスバーデイ
衣装シャーリー・クラタ
編集ポール・ロジャース
音楽サン・ラックス2022年製作/139分/G/アメリカ
原題:Everything Everywhere All at Once映画.comより引用
今回はネタバレなしのお笑い誉めモード。
注意:今回は核心に迫るネタバレは避けていますが、純粋に楽しみたい方には読まないことをお勧めします。
エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス
タイトル長ぇ!
一気にタイプするのがメンドイので、コピペしちゃったYO。
もうエブでよくね。
さて、予告を見る限り本作ことエブは、ポップなコメディアクションぽい感じだったが、監督があの『スイス・アーミー・マン』の監督コンビなので、ゼッテーまともじゃないとは確信していたので、その心づもりをしていたら……
なんじゃコレ。
マルチバースというよりも闇鍋。
箸をつついたら、膨大な妙なのが次から次へと表れるという。
舐めてたました。舐めプでした。
とまぁ、こんなカンジで。
でも、その闇鍋の部分を取り払えば、メッセージはきわめてまともなもので、端的に言えば「なりたい自分になれなかった絶望をどうやって克服するのか」なんだよんね。実は監督コンビの前作も「絶望の克服」なので、そんなモノだった。
だから、アイツがベーグルの向こう側にこだわるのは絶望から逃れるための簡単に言っちまえば破滅願望のイメージなのだろう。
それじゃ、前作スイスと本作エブとの違いは何なのかといえば、それは量で攻めているとしか自分にはみれない。
まずは、主人公ことYO母さん。傍から見れば、世間体を気にする、いわゆる毒親なのだけども、彼女がそうなってしまったのは、父親から否定され続けてそんな風になってしまった。さらに生活苦から疲れてしまいただ流されるままになった。つまり、絶望したために、独りよがりな性格になった。
YO母さんの旦那も、愛しているのだけども相手にされないので、やっぱり絶望。
あと、税務のアイツもアイツなりに絶望を抱えている。
そして一番に深刻なのはYO母さんの娘さん。彼女が厄介で……おっとこれ以上は言えない。でも絶望なのは確かだ。
そして、マルチバースのYO母さん方々も「もっと別の何かがあったのでは?」という不安を抱えている。これは実を結ぶと絶望に直結するから。
かくもまぁ、本作エブは絶望のイメージを示している。
そして、それを克服するのは、誰でもできることという、実にシンプルな主張。
それがエブ。
と、そこまでは読めるのだけども。どうして量で攻めてきたのか?
そこからは自分の当て推量なのだけども、それはある作品と被らないようにではないかと……
『素晴らしき哉、人生』(1946)は子供の頃からついていなかった主人公がクリスマスの夜にある大失敗をして、「自分なんかは、この世にいないほうがいい」と絶望して自殺をしようとしていた時に天使と出会って、その天使の力で主人公のいない世界を見せられて……な展開と物語。感動作としてアメリカでは親しまれている。
ねっ、エブになんか似てるでしょ。
マルチバースとか言ってるけど、本質としては「もしもあの時」話と変わらん。
でもエブには、そこに人種、世代、性差、格差、等々の現代的な要素をふんだんに入れ込み、「こんな困難で、生きにくい、くそったれな世の中だけども、ちょっとした行為ひとつで世界は変えることができる。できるんじゃー!」と叫んでいるのが本作。
これがエブ!
表向きはふざけているけど、実は超真面目。
それがエブ。
だから、本作が派手な見世物的な趣向だけではなく、オールマイティな支持・人気を受けているのだろう?(弱気)
でもまぁ、確かに好みだし、面白かったので、批判する気はサラサラ無いのだけども、最後にちょっとだけ観終わったときの気持ちも書いておく。
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パ〇ラッシュ、僕なんだか疲れたよ。
お後がよろしいようで。
劇場で鑑賞。