ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]

監督・脚本:マイケル・マン
撮影:アレックス・トムソン
編集:ドヴ・ホーニグ
音楽:タンジェリン・ドリーム
1983年製作/93分/イギリス
原題:The Keep

超ひさしぶりの話だが、CATVでF・ポール・ウィルソンのモダンホラー小説を映画化した『ザ・キープ』を観直す機会に恵まれた。
恵まれた、というのは文字どおりの言葉で、コノ作品は日本ではビデオでリリースされたのみでDVDもBDにもなっていない幻の作品だからだ。
内容は、第二次世界大戦の中ソ連(現ロシア)に侵攻する際の補給地点としてドイツ陸軍がルーマニアにある村の奇妙な古城を接収する。しかしそこで兵士が謎の死を遂げる事態に陥り本部に撤収を求めるが、問題解決に来たのがSS(ナチス親衛隊)で奇妙な古城の謎を解くために研究者でありユダヤ人でもある老人とその娘を呼び出して事にあたらせる中、謎の男がギリシャからルーマニアへと向かっていた……な流れだ。
ドラマとしては、悪魔のようなナチス(ドイツ)よりも、さらに太古から存在する根源的醜悪に出会い恐怖するわけだ。
脚本・監督は『コラテラル』や『フェラーリ』のマイケル・マン。

劇場映画監督デビューしたてのマンのこの頃はドラマを語るよりも良い絵面を撮ろうと傾注しているところがあって演出の幅が感じられない。
というよりもこれが本来のマンなのかもしれない。
端的に言えばショッカーとサスペンス演出が感じられない。なので、キメた画はバンバンでて来るのだが、ホラーなのに怖く無いし、さりとてスリルも無いからスリラーとしても体をなしていない。これがスピルバーグかデ・パルマならそれなりに巧くこなすのだろうが、マンはその怪異表現(演出)に目を光らせるだけなのだ。

それに原作だとギリシャからの謎の男はクライマックスまで超自然的な能力は見せないが、コノ作品ではのっけから能力を見せつける。つまりのっけから目が光る。
これは観客の興味を引く演出ができていないと告白しているようなものだ。
‐‐ ちなみに本作は吸血鬼伝説をモチーフにしているが、血を吸うシーンなどなく、目から目へと光 (おそらくは生気)が移動するだけ『スペースバンパイア』(1985)の先取りである。
でも、ショッカーとサスペンス演出はなってはいないが、絵面・画づくりはさすがで、冒頭ドイツ兵が訪れる村を俯瞰で見せずに狭さを強調してザ・キープこと城塞を大きく見せて、さらに城塞の内部を広く撮ることで画に緩急がついて退屈はさせない。

でも、退屈はしないが、やっぱり何かパンチが足りない。
そんな感じ。
あと当然のことながらメカをかっこよく撮るのが巧い。トラックが通るだけなのにソレを仰角ぎみのアングルでやるのは彼だけです。
CATVで鑑賞。
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