注意:今回は内容の確信に迫る言及はしていませんが、純粋に楽しみたい方には読まない事をお勧めいたします。あと、エイリアンシリーズの表記については公開年順に単純に番号で宛てます。
観てきたが……
とてもツライ。
いや、面白いか?つまらないか?の二択なら「面白い!」と言うし、見るべきか?見ないべきか?の二択なら「見るべき!」と超プッシュはする。
……するけどね。
それはさておき、本作は過去のエイリアンシリーズを連想させるカットが多いので「オリジナリティが無い」とか「2次創作なのでは?」の声もあるが、自分としてはそれらには異を唱えたい。
さらに付け加えるのなら過去作は観なくてもOK!
なぜなら、本来なら引用・オマージュと呼ばれるカットがドラマレベルで作品に馴染んでいるために違和感が無いからだ。感情で言うなら「ニヤリ」よりも「ホホゥ」なところに位置している。
なので、逆に本作を観てから過去作を観ても楽しめる作りになっている。
ワインの飲み方に違うワインどおしを掛け合わせて飲酒をするマリアージュというのがあるが、本作はまさしくコレ。別のものを足して新鮮な美味しさを導き出しているので2次創作というよりもオリジナルと言ってよい。
そうゆう意味では本作はいちげんさん向けで、逆に過去作のファンだと厳しめになる。
-- まぁ、そうゆう事ができたのもちょうど良い具合に発酵した45年という長い日があったればこそなのだが。
あと、付け加えると本作では過去作を掛け合わせる事で過去作とは違う禍々しさが表れている。
具体的にはクライマックスのアレよ、アレ。
作劇的には『1』と『2』との矛盾が起こらない様に改変したアンドロイドの設定や、演出的には水面での平行アクションとエレベーターでの高低アクションなどメリハリつけていたので、ボッーと見るだけでもOK。
さてさて、それはさておきの部分を語る前に本作の内容は、太陽の無い鉱山星で働く主人公こと若い娘が同世代の仲間と共に軌道上に漂っている恒星間宇宙船に乗り込んで太陽のある星へと向かうとするが、そこにはエイリアンことフェイスハガーがいて……な流れ。
実は、前もってコノさわりを知っていたので、「これって『ドント・ブリーズ』ぽいな」と思っていたら、本作観たらマンマそのとおり。
『ドント・ブリーズ』(2016)は経済破綻して過疎化が進む街に取り残された主人公が、この境遇から脱出しようと仲間と共に大金を持っている盲目の老人宅に盗みに入るが、その老人が元兵士だったために返り討ちにあい、仲間が死んでゆく中、主人公はさらにおぞましい体験をする。
ドラマのプロットがそっくり。
だけども、それを本作では巧く咀嚼しているので「同じやないかい!」とはツッコまない。
しかし、不条理な恐怖で襲う架空のエイリアンと自分等の都合で勝手にルールを変えて緩やかに弱者から搾取してゆく現実でもありそうなウェイランド社、という二種類の違った「絶望」が挟み込むがごとく主人公等を襲うという状況になっていていて、終わりになると「面白かった」よりも「安堵した」気分になってしまった。
そんな感想。
そして、その安堵はおそらく『エイリアン』をはじめて観た気持ちと同じ。
劇場で鑑賞。
監督:フェデ・アルバレス
製作:リドリー・スコット マイケル・プラス ウォルター・ヒル
製作総指揮:フェデ・アルバレス エリザベス・カンティロン ブレント・オコナー トム・モラン
脚本:フェデ・アルバレス ロド・サヤゲス
撮影:ガロ・オリバレス
美術:ネイマン・マーシャル
編集:ジェイク・ロバーツ
音楽ベンジャミン・ウォルフィッシュ
(スタッフ、画像は映画.com)