ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]
今回は2024年度を『真田版』1980年度を『三船版』ジェームズ・クラベル著原作を『クラベル版』と表記します。あと、今回は内容については書きません。
配信されるやいなや主演の真田広之がガッツリと関わっている話題性もあって世界中から高評価を受けて今年一番に観られてテレビの賞を総なめにしたこの戦国を舞台にした時代劇シリーズはついに1と2を劇場公開するまでにはなった……
けども、結論からいえばそんなに前のめりになる気持ちにはなれなかったのよね……自分は。
とはいえ、世間で高評価なのは分かる。極端な話、自分は従来の時代劇を観過ぎたためのノレん気分だとういこと。
逆にいえば、従来の時代劇を観慣れていないジャパニーズヤングピープルにはこのドラマで新鮮な感動を受けたのは想像できるし、ジャパン外ピープルには異世界ファンタジーのノリの面白さで楽しんだのは容易に想像はできる。
元々、クラベル版はウィリアム・アダムスこと三浦按針(劇中の名はジョン・ブラックソーン)の存在を知ったクラベルが書き続けていた西洋と異文化交流モノの一環として書いた作品で当時の自動車を中心とした日米貿易摩擦も背景にあって、ミニシリーズとして三船版のテレビも制作された人気作品だった。
なので、三船版の見所もメインに違う世界観を持つ者同士のラブロマンスを柱にしながらも、ディテールに日本人以外が喜びそうな要素である切腹(ハラキリ)を特色に、ずばりエキゾシズムを散りばめて物語を展開していたのに対して、今回の真田版も柱のクラベル版のラブロマンスは変わらないもののディテールの方は三船版とは違って西洋とは違う異文化下における権謀術策を作品中に展開している。
早い話が『ゲーム・オブ・スローンズ』。
1と2話しか観た事が無いけど💦
西洋とは違う世界に飛び込んだ主人公がそこにしか無い価値観からくる生活・倫理・道徳に基づく行動様式に戸惑いながらも、時の権力者の心を掴んでソノ存在を認めさせる展開。
だから、個人的にその価値観に馴染めなかったゆえの「ノレん気分」。
でもね……
黒澤作品の影響かそれともリアルさ追求のためか衣装も美術も緻密で、それは良いのだけれども、それが個人的には窮屈に感じてしまった。それと8K画像の鮮明さを優先させたためか照明がリアルな自然よりでコレも画面が見辛い。
正直、意図としての演出が見えない。
そして、トドメは主人公ことブラックソーンを演じる役者さんが真田広之率いる日本人俳優陣に比べて魅力は薄いところ。
これは日本人の自分からすれば、「主人公いなくても物語が成立するじゃん!」と邪推してしまう。まぁ、このシリーズは日本だけでなく世界中に配信されているのでナビゲーター的な役割を持つブラックソーンがいないとワケワカメになるのは理解はするけども。
また俳優陣といえば、この物語は異国の権謀術数なのだが、西洋の国が考えたジャポンなので、繰り返しになるが彼らの価値観 -- 生死観は真田版、三船版、クラベル版ともに日本が地震が頻発する国なので、そこから生まれてきたのがうっすらと分かる -- がイマイチ掴みにくくて時代劇を見慣れた者ほど違和感があるのは拭えない。
日本の時代劇は結構現代的価値観で物語・ドラマをつくるので。
そうゆう意味ではこのテレビシリーズは新しいのだろう。(また繰り返し)
そんな中で際立つのは浅野忠信演じる藪重と女性陳。彼らは現代人の価値観に近いから。
あと、これはクラベル版と三船版にあった、西洋史から見た日本、大航海時代としての位置としての日本の視点が真田版ではスッポリと抜け落ちているので逆にスケール感は減っている。
極端に要約すると、金という富を求めた商人とキリスト教の布教を求めた宣教師と絹を求めた戦国武将等と違い、真田演じる虎永がブラックソーンに彼等とは何が違い、何を見つけたのかが良く分からない。
早い話、アミューズメント戦国時代を見せられた以上の感慨しかない。
今回は辛辣になったが、みんな褒めているので、あえてグレた書き方をしてみた。
VODで鑑賞。
原作:ジェームズ・クラベル
エグゼクティブプロデューサー:ジャスティン・マークス レイチェル・コンドウ ミカエラ・クラベル エドワード・L・マクドネル マイケル・デ・ルカ
プロデューサー:真田広之
データと画像は映画.com