ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]

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注意:今回は作品の根幹にかかわる言及は避けますが、純粋に楽しみたい方には読まない事をお勧めいたします。
まず、「悪くはないけど、それほどのものではないな」と思ったそこの貴方。
この作品はウェルメイドだから。
とっーても良くできた普通の作品。
それが、ウェルメイド。(今年二回目)
直木三十五賞&山本周五郎賞をダブル受賞した永井紗耶子著を映画化したソノ内容は、木挽町にある芝居小屋の近くであった仇討ちについて、江戸にやってきた浪人が関係者からアレコレ聞き出すうちに……な展開。
原作もそうだが本作は、舞台は歌舞伎がそう呼ばれる前の、松竹が歌舞伎のすべてを牛耳る前よりもさらに昔、明治の演劇改良運動がはじまる前の江戸の大衆が愉しむ芝居小屋としての歌舞伎の裏側を覗き見る事と、そこに働く人々の感情の機微を描くいわゆる市井もの、の趣向となっている。
確かにミステリー仕立てだが、原作を映画に準えるのなら、どちらかと言えばフランス映画『天井桟敷の人々』(1945)に近い。
まぁ、それだと長くなると判断されたのか、本作はミステリーでもアガサ・クリスティ風の叙述モノとして縮め纏めるために、原作と違いあるキャラ等を改変している。
なので、原作にあった批判の部分が抑え気味となり、映画では人々の感情の機微よりも心意気が強調された側面がある。
だから、重要なキーとなるのは、そいつに「お力添えしたい」という気持ちに導くキャラクターを創造する事で、それはかなり巧くいっている。


だから原作と本作の感動は微妙にズレている。
山本周五郎よりも池波正太郎に近いテイスト(時代劇ぽい例え)
世の矛盾に逆らう、というよりも、世の矛盾を逆手に取る、という感じ。
粋な締めでおさまる。
それも含めてウェルメイド。
マァおそらく、時代劇ファンなら嗜んでいるはずだが、嗜んでいない者にはややこしい封建制における人々の感情なんて分かりにくいとの判断もあったのだろう。
劇場で鑑賞。
監督・脚本:源孝志
原作:永井紗耶子
プロデューサー:中澤元 堀口純平
ラインプロデューサー:中森幸介
撮影:朝倉義人
照明:池本雄司
録音:西村憲昭
美術:吉田孝
装飾:三木雅彦
衣装:大塚床山 山下みどり
結髪:松浦真理
編集:小泉圭司
音楽:阿部海太郎
(データと画像は映画.com)

