ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]

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何か、ようやく士郎正宗原作の雰囲気どおりのアニメ化で、日本の原作派と海外の押井派がアレヤコレヤと話して、攻殻機動隊界隈が賑やかで、やるなら今かな……と思い。
今さらだが内容は、義体というサイボーグ化という技術とそれをネットワークに繫ぐ電脳という概念が定着して生身以外の人間も存在する未来で、国の内務省所属捜査機関の元で働く、草薙素子こと通称「少佐」をリーダーとするグループが、テロリストであり凄腕のハッカーでもある「人形使い」を捜査中にそれが意外な存在で……な流れだ。
原作は、いわゆるSFのサイバーパンクに位置するのだろうが、ソノ当時はまだ濃いマニアが口にするのみで馴染みは薄く、薄いマニアから一般に知れ渡るようになったのはコノ原作からだろう。
映画公開当時からも、原作とは違うと指摘されながらも、反発が起きなかったのはそんな背景があった。
そして、原作も読んでいた自分の鑑賞後の率直な感想は、これは押井監督にとっての『カリオストロの城』だな。という感情だった。

ココに登場するルパンは、アノ時の宮崎駿の年齢に近い設定になっている、つまり監督の感性と感情にとって動きやすく、解釈・アブダクトされているからだ。
それを覚えていれば、コノ作品でもそれなりにアブダクト・解釈がなされていて、それが押井寄りに動きやすくなっていたのは一目瞭然。
士郎の素子は姉御肌で、会話も丁々発止なテンポで、何処となくユーモアもあったが、押井のコノ作品ではその辺りが完全に抜かれてドシリアス寄りになっていた。だから、原作にはあったAIロボットのタチコマ等が登場しない。
ちょっとだけ余談で、映画化の際に原作からひとつ抜け落ちたエピソードがあるのだが、それは後の続編的作品ともいえる『イノセンス』(2004)で使われました。
そして、原作では短いエピソードで物語りで進み、通して読み終えると、マンガで描かれた世界観の一端に触れるという壮大な作りになっているが、それを映画にすると軸というモノが無いので何を見せられたのかが分かりにくいところがある。
だからそのまま映画化しても、入る敷居は高くマニア好みにはなっても、いちげんさんの娯楽としては難しい。
当時誰もがサイバーパンクなんて物は素直にイメージしにくいはずで、-- もしかして押井さん達も把握していなかったカモだ。
ましてや大衆が……。
ソノ辺りを一般にも見やすくするために、コノ作品では、原作のサイバー大捜査モノの要素を外して、押井好みの、よりノワールに近いところに寄せている。
ぶっちゃけ、あの雰囲気はフレンチノワールの鬼才ジャン=ピエール・メルヴィル監督作品『サムライ』(1967)から、色のトーンをよせて、とくに顕著なのは素子の姉御肌を主人公のジェフ・コステロの虚無感なキャラによせているのは一目瞭然。


さらに、物語へといざなうためにラブストーリーというよりも幻想的な恋物語をしのばせている。具体的には『白夫人の妖恋(びゃくふじんのようこい)』(1956)だ。

内容は、宋の時代における中国を舞台にこの世に馴染めない若者が、ある美女に見初められて結婚するが、その美女が実は人間ではなく、蛇の妖怪だったという展開で、その間を端折ってラストだけ話すと、美女への固い愛を確認した若者は彼女と共にこの世ではない別の世界へと旅立つ。
なので、この世に対して居心地が良くない素子が人形使いと合体(?)して、この世ではない電脳世界へと旅立つ。という落とし所は、原作よりもほぼコノ作品からイメージを取っているのが分かる。
しかし、こうしたアブダクトをやっても、やはり公開当時は難解だと見られて……そうでながらも『ブレードランナー』(1982)のフォロワー作品として抜きんでた評価はあり、その後海外での評価を中心にして徐々に人気上がって行ったのは皆が知るとおり。
それに、その後に士郎のイメージにそって映像化された作品等もいくつかあったが、マニア内の人気に留まった状況からすると、あの時の押井&作り手達の判断はやはり正しかったのだろう。
DVDで鑑賞。
監督:押井守
原作:士郎正宗
脚本:伊藤和典
プロデューサー:水尾芳正 松本健 石川光久
エグゼクティブプロデューサー:宮原照夫 渡辺繁 アンディ・フライン
演出:西久保利彦
キャラクターデザイン:沖浦啓之
メカニックデザイン:河森正治 竹内敦志
銃器デザイン:磯光雄
作画監督:黄瀬和哉 沖浦啓之
レイアウト:渡部隆 黄瀬和哉 沖浦啓之 竹内敦志 末武康光
美術監督:小倉宏昌
美術設定:渡部隆
色彩設定:遊佐久美子
撮影監督:白井久男
編集:掛須秀一
音楽:川井憲次
音響監督:若林和弘
アニメーション制作:Production I.G
データと画像は映画.com

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