ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]
去年の話である。
母がアルツハイマー型認知症になり後期高齢者の父だけでは対応が難しくなってしまったので、離婚者で独り身の自分が、二人の面倒をみることになり、職を変更して実家に戻って来た。そこでそんなアレやコレやな毎日をやっている際に父が言った。
父「お前アマゾンとかに入っているのか」
私「ええ、まあ」
父「それじゃ、そこに信長のレジェンドなんたらとかあるんだろ」
私「(あゝ『レジェンド&バタフライ』のことか)あるはずだけど」
父「それが観たい」
(心の声 )嫌だなー
私「イヤイヤ、あれは完全に若者向け女性向けだから貴方が見ても面白くないって」
父「信長が出てきたのなら見たいのだ!」
父はあの世代には当然の如く司馬遼太郎の小説ファン、そしてこれまた当然の如く戦国&幕末贔屓でもある。そしてかつてはN◯K大河の感想というよりは不満をわざわざ毎週自分に電話してくる始末。
— あっ、でも戦国&幕末なので、それ以外は口が開かないらしく今年はけっこうに静か。
説得を諦めて、この後に起きうる事を予想しつつアマゾンかタブレットに『レジェンド……』をダウンロードをしてテレビとリンクさせた。
数時間後。
父「つまらん!」
私「(ホラきた)」
父「なんだ、あの信長は。武将じゃなくて拗ねた若造にしか見えんじゃないか」
私「(そりゃあ、あんたが毎週文句ばかり言ってた、『どうする家康』の脚本家の人だからな)」
私「(そりゃ、普通のヤンキーな兄ちゃんが自らの意思とは関係なく他人から第六天魔王と恐れられる存在になってゆくドラマだから。『どうする家康』とまんま同じ)」
父「しかも、あの信長はただの馬◯で実質彼を動かしていたのは濃姫の方だってのは嘘のやり過ぎだろ」
私「(だから、アンタ向けじゃ無いのは前に釘を指しただろうが、あれは若者層向け女性向けで、あと、やっぱり『どうする家康』と同じ)」
父「第一、合戦もなければ本能寺もどうして変なことをする」
私「(合戦シーンがあったとしてもアンタは決してよろこばないよ。かつて文句ばかりだった実写版『るろうに剣心』の監督だからな。でもドラマ『ハゲタカ』は褒めてたな)」
と、予測どおりの反応だったので、自分の中の承太郎が肩をすくめたのであった。
ヤレヤレだぜ。
– そんな父もどうやら再来年の大河は豊臣なので少しは期待しているみたい……な気がする。
VODで鑑賞。
スタッフ
監督:大友啓史
脚本:古沢良太
製作:須藤泰司・井元隆佑・福島聡司・森田大児
音楽:佐藤直紀
撮影:芦澤明子
編集:今井剛
Wikipediaより引用