えいざつき ~映画と世情と日常と~

何かの感想というよりも、それで思い出した事を書きます。映画、SFが多めです。そして、たまに妄想が暴走します。

『ローガン』雑感:こうしてローガンは……

ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略][加筆修正有]

 


映画「LOGAN/ローガン」TVCM (STORY編30秒) 

 

LOGAN ローガン』はアメコミの事件だ!という振れ込みはどうでもよくて『ローガン』はアメリカでしか成立しない、いかにもアメリカな映画だ。それは「ヒーローとは?」の問いを続けてきた歴史の浅い新しい国家アメリカならでもある。歴史のある国なら「何をいまさら」の部分を照れもなくできるから。

 

後で原作があるのは知ったが読んではいない、そんな自分がここでは感想というよりも映画を観た雑感だけを書いてみたいと思います。

 

 

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ここから先はネタバレになります。観ていない方にはおススメできません。

 

キャンベル 苦しまなくても生きてゆける、と言っている神話には、一度も出会ったことがありませんね。神話は私たちに、苦しみにどう立ち向かい、どう耐えるか、また苦しみをどのように考えるかを語ります。しかし、苦しみがない人生がありうるとか、人生に苦しみはあるべきでないとか、そんなことは言っていません。 

     ジョーゼフ・キャンベル ビル・モイヤーズ 著 『神話の力』より

 

 

英雄(ヒーロー)になる要素で見逃しがちなのは「ぬくもり」だ。

 

バットマン』がどうしてダークヒーローといわれるのか?それはバットマンことウェインが「ぬくもり」を知らないからだ。欲しいと思っていても手に入らない。ハッキリ言えばダークの部分はそれだけで成立している。『レゴバットマン』が傑作だったのは『ダークナイト』を論評、総括してバットマンに「ぬくもり」を与えたからだ。仲間と一緒にアイマンマンの悪口を叫ぶところがソレだ。ダークヒーローがヒーローになる瞬間でもある『レゴバットマン』はレゴの特殊性と笑いの効力でそれをやった。

 

どうしてアクションの主人公がヒロイン(女性とは限らない)やファミリー(疑似でも)とふれ合うのか?どうして後で足を引っ張るのを分かっていてそんな設定にするのか?ワンパーンでも分かりやすさでもない。そうしないとヒーローになれないからだ。

 

そして『ローガン』ではさらにその上を描く。

 

『ローガン』のソレは察するとおりローラとのふれ合いだ。しかし映画ではそこまで行くのにローガンの愛を失った者の孤独をさりげなく覚らせてそれとともに彼が自殺的な行為をしない理由をチャールズの介護にすることでそれを回避して、さらにラストのアレのために好意で泊まらせた一家とローガン達の団欒(だんらん)を描写して「ぬくもり」を布石として描いた後に冷酷にも皆殺する描写も入れてローガンの最後への印象を意図している。

 

そうまで徹底したのはローガンを普通のヒーローではなく神話的な英雄(ヒーロー)まで高めるためだ。

 

普通のエンタメならウルヴァリンの分身であるべきX-24と戦うのは復活したローガンであるべきなのに映画ではそれをしない。彼が倒したのはザンダーだけだ、しかも素手ではなく銃で。X-24を倒すのはローラだ。映画ではローガンにはエンタメにありがちな行動は徹底的に描かない。

 

もちろんそれが出きるのはシリーズをとおしてウルヴァリンの活躍を描いてきた「貯金」があるからだが、第一にそれをしないと『ローガン』でのテーマがぼやけるから。神話的な英雄(ヒーロー)は「勝つ」のではなく「得ない」といけないから。そして、すべてはあのラストシーンのために……

 

ラストで「ぬくもり」を得て死んだローガンの墓に十字架をローラが斜めに倒してそれがXの形にみえることからX-MENファンに対するサービスもあるだろうが、これはローガンという男が神話的な存在になったことを示している。 --生き残りの一人がウルヴァリンの人形をもっていることからも分かるーー 生き残って国境を越えたローラ達、ミュータントの生き残り達もやがて大人になり子供を作れるかもしれない。そのとき「あの時」のことを自分達の子等に話すだろうし、それはミュータントの間で語り継がれるだろう。そしてそれはやがては神話になる。

 

「ぬくもり」得た「強い男」はそれになる資格があるからだ。「神話的英雄」にだ。

 

 

補足:『ローガン』にも出た『シェーン』の視点で西部劇を描いた監督にクリント・イーストウッドがいる。『ペイルライダー』に如実にその影響がみえるしなによりも『許されざる者』 --『ローガン』では悪漢からライフルを奪ってへし折るシーンがあるが、それがクライマックスのイーストウッドの動作を連想させるーー は亡くなった妻との「ぬくもり」を知った主人公が金のために賞金稼ぎをするが、その相手の保安官が秩序は重んじるが「ぬくもり」がない人物として描かれるため結果として主人公が畏怖を感じる特別な存在、つまり神話的英雄として描かれている。『許されざる者』が「最後の西部劇」と評される理由でもある。

 

 

 

 

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