えいざつき ~元映画ブログだったポエマーの戯言~

批評というよりも、それで思い出した事を書きます。そして妄想が暴走してポエムになります。

【ネタバレ無】お気楽極楽黙示録『ゾンビランド:ダブルタップ』

お題「最近見た映画」

ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]

 

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www.imdb.com

 

10年前、アメリカでスマッシュヒットした、人気ゾンビコメディ『ゾンビランド』の続編。地球上の人類がゾンビと化したなか、コロンバス、タラハシー、ウィチタ、リトルロックの4人は、10年にわたってゾンビ社会を生き抜いていた。その間、ゾンビたちもパワーもスピードもレベルアップした新種(T-800)が登場。ルールさえ守れば何でもありのコロンバスたちは、あらたな仲間を加えて、またまたゾンビたちをなぎ倒していくのだが……。

ルーベン・フライシャー監督

 

……………ぬるい! 

 

どうやらルーベン・フライシャーはこんな作風な監督だった。いや、『ヴェノム』でコタツを引用して感想を書いた時に薄々とは感じていたが……。

 

この映画、一言でいえば贅沢なシットコムシットコムとはオジサンたちなら一度は見たことがある30分間のアメリカ製コメディ番組で、俳優さんが何か喋る事に何処からか笑い声が入ってくる仕掛けになっている他愛もないコメディ番組のことだ。今の日本なら『サザエさん』や『ちびまる子ちゃん』がそれに近い。今作の『ダブル・タップ』もズバリそれ。つまり出オチの連続。

 

出オチとは一発ギャグのことで、上手くハマれば大笑いできるが、ズレちゃうとちーとも笑えないところがある。これを『アイアン・スカイ 第三帝国の逆襲』で説明すると、あの映画、iPhoneよりも携帯電話のノキアを大プツシュするのだけども、それはノキアフィンランドの会社で、そして『アイアン・スカイ』がフィンランド映画(合作)でもあるから、笑いに繋がるのだけども、それにピンとこないとただボー然となるばかりなのが一発ギャグであり出オチ。分るか!

 

そして、この『ダブル・タップ』もまさに出オチ -- タラハシーの「バークレー!」とか -- のみで構成された、「ザッツ、出オチ」映画だ。つまり、一言で表すなら他愛もない映画なのだ。なのだけれども……

 

ぬるま湯ってとーーーっても心地よいじゃない。

 

そう、これはぬるま湯の心地よさを楽しむ映画。大体にメタリカヘヴィメタル)からはじまってプレスリー(ロックンロール)で終わる映画なんて「これは心地よいぬるさですよー💛」と映画が教えてくれているようなもので、風刺とか、締まったドラマとか、ましてや感動とは無縁とは違う別の面白さなのだ。

 

しかし、ぬるま湯とは実は温度管理が難しい、だって、すぐに冷めてしまうから、そこで今作は適度な温度を保つために小さな工夫がそこかしらにある。一番の工夫はゾーイ・ドゥイッチ演じる新キャラの金髪ねーちゃん!この金髪ねーちゃん、ゾンビ世界をあっけらかんと生きているタラハシー達よりもぶっ飛んだキャラで、「どうして生きてんだよ!」とツッコミたくなる設定なのに、カーシェアリングビジネスの発想をしたりでヘンに奥が深い。そんな彼女が停滞しがちな今作を引っ張っている功労者でもある。少なくとも新ゾンビT-800よりもしっかりと引っ張っているのは確か。

 

温度管理を間違えて、あわゆく冷めそうになったところもある。中盤にチョイ役で登場するルーク・ウィルソン演じるアルバカーキとの絡みは別になくても繋がりが悪くなるわけでもないのに何故か現れてここだけ停滞気味になるが、どうやらimdbによると、当初アルバカーキの役は『デッドプール』のライアン・レイノルズが演じるはずだったが、スケジュールの都合でウィルソンになった経緯なので、たしかにレイノルズがアレをやればいい塩梅のぬるさだったのは間違いない。ちょっと惜しかった。

 

そして、とどめはアレのアレ!ですよ。締めのアレが本当に適度なぬるさからチョイ高目の温度にしてくれるから、いい感じでぬるさから出てこれる。

 

10年前はハレルソン以外は無名だった俳優たちもそれなりにキャリアを積んで、今やオスカー受賞者 -- ちなみにこの映画の予告もぬるま湯を反映して、いわばCOOL!-- エマ・ストーンもいるのに適度に型の力が抜けたシットコム芝居をする。コロンバスを演じるジェシー・アイゼンバーグなんて、もう童貞設定じゃないのに童貞演技しているという妙な贅沢さ。ハリウッド演技派スターが演じる『サザエさん』みたいなモンですよ。コレ!

 

と、まぁ。まるで、豪遊の限りを尽くした元禄時代の豪商こと奈良屋茂左衛門と二枚の蕎麦の逸話みたいな映画でした。

 

でも、次もやっぱり10年後なんだろうな……。

 

注釈:奈良屋茂左衛門とは江戸中期の元禄時代紀伊国屋文左衛門と共に豪遊を競い合った豪商。その奈良屋が、ある晩に友人に蕎麦二枚をふるまったが、少ないと感じた友人が蕎麦を買い足そうと蕎麦屋で求めると、どこも品切れだった。実は奈良屋が、この晩のために近隣の蕎麦屋の蕎麦をすべて買い占めていた。という、回りくどい豪遊エピソード。

 


ZOMBIELAND: DOUBLE TAP - Official Trailer (HD)

 

 

メタル・マスター(リマスター)

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バーニング・ラヴ

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