えいざつき ~元映画ブログだったポエマーの戯言~

批評というよりも、それで思い出した事を書きます。そして妄想が暴走してポエムになります。

キングコング(1976)

お題「ゆっくり見たい映画」

ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]

 

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www.imdb.com

 

今日のポエム

うん、大味だ

 

 

映画とはポエムです!ポエムとは映画でもあります。それでは大いにポエムちゃいましょう!

  

そして、キーワードは。

 

中味より側を語る!

 

今回はネタバレ無しの解説モード。

 

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(C)2021WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. & LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS LLC.

キングコングは友達さっ!

 

はい、不定キングコングの感想、第二弾は1976年にディノ・デ・ラウレンティス制作、ジョン・ギラーミン監督のキングコングだ。

 

でも、語る余白があまりにも無い。

 

公開当時は「キングコングが再び映画化」や、またコングを実物大で再現 -- 因みに実物大コングを製作『E.T.』(1982) や『REX 恐竜物語』(1993) を担当したカルロ・ランバルディ -- したで、相当な話題になったらしいのだが、自分には、まるでピンと来ないし、今となっては「そんな事もあったね」くらいにしかない。

 

物語の段取りは1933年と同じだか、変更点は、舞台は1970年代であり、映画撮影は石油採掘になり、なので映画監督カール・デナムは石油会社の社員ブレッド・ウィルソンになり、ヒロインと恋仲になる船員ジャック・ドリスコルは動物学者ジャック・プレスコットへとなっている。変わらないのはコングに襲われる美女(1933:ドワン)が女優(1976:アン・ダロウ)くらいなのだが、その関わり方も、売れないハリウッド女優が、香港 -- 当時はブルース・リー登場で世界中が空手ブームだったので -- へと仕事に行く途中で乗っていた船が難波に合い石油会社の船に救助される。といった流れになっている。

 

ドラマも、今となっては、モンスター映画にある単純な「怪獣が美女を襲う」ものではなくて、コングと美女(ダロウ)と男性(ジャック)との三角関係になっていてスリルや恐怖を売りにしているよりも、メロドラマの方に比重が置かれている感じだ。

 

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キングコング(1976)

これは、音楽をジョン・バリーが担当したことからも察しがつく、バリーといえば007シリーズを思い浮かべる者もいるだろうが、当時の彼の代表曲と云えば『野生のエルザ』(1966) があるからだ。

 

『野生のエルザ』はライオンと人間との日々を描いた実話を基にした感動的な映画で、それまでは猛獣として恐れられていたライオンに対する考えを変えた作品だ。つまり、本作ではモンスターであるキングコングを、その様な存在として描こうとしたフシがある。だから三角関係のメロドラマ。

 

なのだが、監督がジョン・ギラーミンだから、やっぱり本作も大味だ。

 

タワーリング・インフェルノ』(1974)、『ナイル殺人事件』(1978)、『シーナ』(1984)、そして『キングコング2』(1986)後期作品くらいにしか覚えてなく、ましてや最高作である『ブルー・マックス』(1966) すら記憶の彼方にある自分にとってギラーミン作品は「大味監督」であり、もっとキツイ言い方をすれば「タワーリング・インフェルノの七光」の人になっている。

 

だから、「モンスター映画にロマンスを組み入れる」なんて器用な事ができるはずもなく、本作もどっちつかずの中途半端な結果になっている。

 

とはいえ、映画史の視点から見れば、1933年版に劣らず、本作も結構に重要だ。それはプロデューサーしたディノ・デ・ラウレンティスの新しい資金調達方法、プリセール (現在ではネガティブ・ピックアップ契約が主流)で作られた大作だというところか。

 

それまでの映画製作の資金調達を制作会社が自力でやって、配給会社に売り込む形だったのに対して、制作会社が配給会社に、映画の配給権を映画ができるより前に売ることによって、対価を制作費へ回すというシステムを作ったのがプリセールという仕組みだ。

 

念押ししておくと本作が、そういったものの最初ではないが、大手ハリウッドスタジオではなく、独立系映画製作会社が巨額の資金を導入して興行的成功を収めた作品であり、これが無かったら、後々の『トータル・リコール』(1990) や『ターミネーター2』(1991) 『クリフハンガー』(1993) などの大作映画は出来なかった可能性があったし、1980年代1990年代にかけてのキヤノン・ピクチャーズやカルコロ・ピクチャーズなどの躍進もあり得なかったかもしれないからだ。後、商品完成契約上の縛りと作家的芸術性の妥協で生まれた架空の映画監督アラン・スミシーの名前が、このあたりに繁盛に登場したのも、この影響だろう。-- もっとも、そのために権利関係が複雑になって、再上映・再販売が難しくなった弊害も起こったのだが -- 本作は、その先駆け的なポジションにある。

 

そして、次に上げるのは、本作はハリウッドでは珍しい、いわゆる着ぐるみ特撮だと言うところだ。前述したようにカルロ・ランバルディが作った実物大のコングが話題になったが、それが使われたのはワンシークエンスだけで、後は特殊メイクアップアーティストのリック・ベイカーの制作とベイカー自身がコングを演じている。そして演技が制限される印象を持たれる着ぐるみに特殊メイクの手腕を活かして、コングに多彩な表現を繰り広げている。つまり着ぐるみの概念を変えた。

 

それに後は、当時はコングファンからはクライマックスがエンパイア・ステート・ビルでは無いと不満の声が上がったらしいが、今となっては、あの世界貿易センタービルになっている偶然性も無視できない。

 

そんな所かな今回は。

 

参考

キングコング(1976) DVD

ハリウッドがひれ伏した銀行マン DVD

 

DVDで鑑賞。

 


King Kong - Theatrical Trailer (REMASTERED IN HIGH DEFINITION)

 

 

 

 

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