えいざつき ~元映画ブログだったポエマーの戯言~

批評というよりも、それで思い出した事を書きます。そして妄想が暴走してポエムになります。

晩酌で観た『無法松の一生』

ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]

ストーリー

松五郎こと無法松(阪東妻三郎)はトラブルを引き起こす暴れ者だが、どこか憎めない人力車夫。ある日竹馬から落ちた少年・敏雄(沢村アキオ)を助けたことがきっかけで陸軍大尉の吉岡家へ出入りするようになるが……。

スタッフ

監督:稲垣浩
脚本:伊丹万作
原作:岩下俊作
撮影:宮川一夫

1943年製作/82分/日本

映画.comより引用

 

今回はネタバレなしの解説モード

 

まぁ、今回はただの駄弁りだ。

 

先日CATVで4Kで修復・リマスタリングされた大正後期から昭和初期に人気を博した映画スタアの阪妻こと阪東妻三郎の主演作『雄呂血』(1925)と『無法松の一生』(1943)を観直したのだが。

 

いや~、阪妻ってヤッパリ田村高廣、正和のお父さんなのね。とシミジミと感じ入ってしまった。

 

お前は何を当たり前の事で感じ入るのよ!とツッコまれそうだが、そう感じたからしょうがないじゃんとしか。(開き直り)

 

でもな、過去に観たことがあるにも関わらず、それだけコノ作品等の4K修復のクリアな映像に魅入ったのも確かなのよ。前にもココで書いたことがあるが、モノクロは単純に白と黒ではなくて色の濃さを示す階調というのが白と黒にもあって、その微細な違いを我々こと人は無意識にちゃんとソレを見極めている。

 

そのあたりをシミジミと感じ入った訳さ。

 

……多分な。

 

もう一つ気が付いたのは阪妻の可愛気。4Kデジタルで修復された無法松は荒々しさ垣間見える可愛気をちゃんと捉えていた。修復前のモノクロが潰れたヤツだと、そこんところが見えにくくて乱暴者だけど気がいいオッチョコチョイなキャラにしか感じなかったが、コレを観てしまうと監督の稲垣浩が無法松をどうキャラ立てしていたかがより理解できる。荒くれ者の中にある繊細さが垣間見えるのよ。

 

無法松の一生(画像はimdb)

あと、ヤッパリ撮影の宮川一夫キャメラも抑えておくと、いかにもな上からアングルとか、映画ファンなら語りぐさになっている。オプチカルプリンターを使わずにカメラだけで複雑なオーバーラップことディゾルブを作ったことで伝説級のエピとテクをもつ人物。

 

ディゾルブとは、シーンが変る場合にいきなりカットして繋げるのではなくて前のシーンをダブらせながら変えてゆく映像技法。そうする事で自分等こと観客に余韻を認識させて情感を感じさせる。ザックリと説明すればソウ。

 

そして情報としてすでに知っている者が多いだろうが、宮川はそれをフィルム合成機械を使わずに未感光のフィルムが入ったカメラを自らの手で巻き戻して撮ってダブらせた。そこで映像で人生の走馬灯を作り出した。

 

まぁ、これは邦画史を多少知っていればスグに出てくるくらいに有名なエピ。

 

そんで、この4K修復では、その前フリというか前哨的な意味合いで時間の変わり目にディゾルブを使っているカットがある。コレ修復前のヤツだと「そ~かな?」くらいの感じでハッキリとしなかったのだけども今回の修復バージョンで確信できた。

 

と、まあ。コノ4K修復でコノ作品がより深く堪能できた。物語はもう知っているしな。

 

でもな、逆説的言ってしまえば、修復前のヤツでも、キッチリカッキリ泣ける作品になっているのはヤハリ、伊丹十三お父さんこと伊丹万作の脚本が良かったからでもある。そんなところも再確認できたのはチョイと嬉しい収獲だったね。

 

もちろん基本的な感覚は変わらないが、より深くなったというべきか。

 

CATVにて鑑賞。

 

 

 

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