えいざつき ~映画ポエマーの戯言~

映画批評というよりも、それで思い出した事を書きます。そして妄想が暴走してポエムになります。

『ミスター・ガラス』を観たオレがあきれ果てて大人気もなく シャラマンをただただ非難する!

お題「最近見た映画」

ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]

 

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www.imdb.com

 

M・ナイト・シャラマン監督が2000公開『アンブレイカブル』と2016年公開『スプリット』に繋がる世界観を共有したサスペンススリラー(?)。フィラデルフィアの施設に三人の男が強制入院される。不死身の肉体と悪を感知する力を持つデヴィッド・ダン。24人もの人格を持つ多重人格者ケヴィン・ウェンデル・クラム。IQの高さと骨折した壊れやすい肉体を持つミスター・ガラス。彼らの共通点は、自分が人間を超える存在だと信じていること。彼等を集めた精神科医ステイプルは、それが単なる妄想であることを証明しようとするが……。

 

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渡辺淳一 著の恋愛小説失楽園は発表当時、ベストセラーになり森田芳光監督で映画化もされた話題作だ。ベストセラーだから、その愛に感動した人も大勢いただろうし、映画もヒットした。しかし、「サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ」で知られる映画評論家の故・淀川長治はこの映画のラストを「身勝手」と非難した。

 

もしも、彼がこの映画を観たのならきっと「身勝手」と非難するだろう。

 

最初に宣言しておく。

 

この映画は今年のワーストで、駄作だ。

 

批判はあくまでも作品のみだし、それ以上の詮索も無い。しかし、今回はシャラマン監督の思考・信条そのものを非難するしかない。

 

今からこの『ミスター・ガラス』の非難をするのだが、もちろんネタバレはある。そして、シャラマンのアンブレイカブルスプリットのネタバレもある。それは3作品を含めた、いわゆるシャラマンユニバースなるものへの非難でもある。

 

もっとも、このユニバースはラストの余韻が希望ではなく、暗黒の時代への到来を予兆するものであったのなら、それほど非難することもなかった。しかし、あのラストはどう見ても希望にしか見えない。だから非難することしかできない。

 

それでは、あえて試みにして問う(Fate風)。仮に自分等があのシャラマンユニバースの住人だとして……。

 

あの列車脱線事故に自分の愛すべき人が乗り合わせていても、同じ様にあのラストに感動できるのか?……と。

 

それはガラス(イライジャ)が過去にしてきた犯罪(事件)の理由が、自説を証明するためだけに行われていた事や、ケヴィンが殺した相手があの親父でなく女子高生だった。という「身勝手」な理由と同じだ。

 

映画内で反論らしい描写もなく、単純にヒーローの存在を素晴らしいモノとして表現しているのはヒーロー誕生には架空といえども人の命を生贄として奉げても良い。と主張しているのと同じなので、「身勝手すぎる」と非難するしかないではないか!

  
さらに一番の問題は、何を伝えたいのか分からない。のだ。ヒーローの資質である愛と勇気の心が普通の人々でも持っていて、それを奮い立たす。みたいな描き方ではなく、ヒーローは実在する、それを世に知らせるべきだ。などという主張は、一見には素晴らしいモノに見えるが、最初はそれを拒む者達が主張するとおり、「力を持つ者と持たない者」への格差と混乱が助長されるだけだが、中世ならともかく現代だと、最終的には法やマナー -- 希望で終わっているので、このヒーロー像はもちろん性善説だろう -- などで日常として落ち着いてゆくだろうし、仮に皆が皆、超人的な力を持つとしても、早い話、普通が底上げされているだけで、意味がない。「それがどうした」の一言でかたずけられる。それは多様性の比喩とも違う、だから、その答えは結局シャラマンの頭にしかない。

 

「現代の神話をやりたかったんだよ」の反論はあるだろう。しかし、舞台は過去ではなく命を尊び人権を大事にする現代だ。そこに何の葛藤や論争もなく、ストレートにそれを表明するのはカルト宗教の主張と大して違わない。

 

そしてカルトは中身は無いが、弁舌とカリスマで人を動かすことができる。

  
困った事にシャラマンの演出が凡庸な監督と比べて巧いことだ。だから、観客が感動しているのは彼のテクニックであってメッセージでは無い。人としての常識を一瞬でも忘れてしまう。しかし、この結末は本来嫌悪すべきモノなのだ。

 

シャラマン作品はこれまでも「幼稚」だったし、その辺はオレも同じなので、どうこういえる立場でもなかった。しかし、今作での「身勝手」を加えると、さすがに見逃すわけにはいけない。だから、非難するしかない。

 

本心を云えば、実はそれほど怒っている訳でもない。観ているうちに「家を抵当に入れて資金を作って撮りたかったのがコレかと」、嘆息しただけだ。ただ、その「幼稚」と「身勝手」さを中二病を拗らせた妄想として楽しむのではなく、感動として受け取ってはいけないという妙な使命感でコレを書いただけだ。

 

「たかが映画じゃないか」その通りだ。「非難するお前はそれほど立派な人間なのか?」もちろん違う。しかし、ここはあえて物分かりの悪い大人の意見を表明する。

  


Glass (2019) - Official International Trailer UK

 

 

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