ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]
今回はピーター・ハイアムズ監督『カプリコン・1』を観た方、または楽しく観た方には怒りを禁じ得ない内容になっているかも知れない事を了承ください。
『カプリコン・1』とは1977年に日本で公開されたサスペンス映画であり、監督は『2010年』、『エンド・オブ・デイズ』などのピーター・ハイアムズ。-- ちなみに併映はスパックロマンで売り出していたマイケル・アンダーソン監督の『オルカ』-- 内容は人類初の有人火星探査を目的に打ち出された宇宙船カプリコン・1が実は失敗による中止で予算削減を恐れたNASAのヤラセだった。という物語。
若い頃3回程度だが、今ならツィツターの映画クラスタなどでよく告知されている。仲間どうしが集まっての集会や飲み会などを若い時に俺も参加した事がある。もちろん当時はSNSよりコミニティ関連なのだが、基本的には変わりがない。
もっとも俺本来のコミュニケーション下手とやっぱりは回りとは違うらしくて、話しが噛み合わないところが多かった。例えばポール・バーホーベン『氷の微笑』の犯人なんて「オッパイの形ですぐに分かるだろう!」などと発言してドン引かせ時もあった。
そして当然の(?)ごとく、そういった集りには俺よりも映画を観ている年長者がいて仮の名をAと呼ぶ、そのA俺らに対して「アレを観なくてはダメだ」みたいな事を言ってくる。
さて、そんなこんなで3回目。海外に比べて日本のSF映画は、どうしてリアルさが無いのかの話題になった際、思わず俺が「いや、日本にも『妖星ゴラス』がありますよ」と反論したとたんに、Aがあからさまに下の者に諭す口調で、「あれは面白いがリアルではない」と言い返して、リアルの例として『2001年宇宙の旅』ではなく、この映画を出してきたときに……
カプリコン・1……だと……
どうみたって月にやっと行けたアポロの宇宙船と着陸船で火星へ行くリアリティなさすぎる話なのに、それがリアルだと……
俺の中で何かがキレた。
てめぇ、『ゴラス』より『カプリコン』の方がリアルだと。光速度不変の原理を平然と無視している映画のどこがリアルだと言うんだ!そんなヤツよりも南極に怪獣がいる映画の方がリアルに決まってるだろうが!それにあれはどう見ても東宝の『東京湾炎上』のパ〇リだろうが!俺はバカにバカと言われるのが大嫌いなんだ。上等だ決着をつけてやるから表に出ろ‼
おそらくAは凍り付いていたのかもしれない、何よりも怒りまくっている俺を周りが慌てて止めていたのは憶えている。
その後、俺は憤然として場を立ったので、その後のことは知らないし、そのコミュニティからも脱退して、それからの声掛けも無かったので、どうなったのかは知らない。その時に俺が身に染みたのは、やっぱり自分の感性と他人の感性は違い過ぎるという感情だけだった。そしてそれ以来こうした集まりに参加しなくなったのは確かだ。
ちなみにハイアムズ監督とは後に『2010年』でもやりあう羽目になるのだが、それはいつかまた。ということで。
おしまい。
ちなみに『カプリコン・1』は好きっす。
注釈:
〇『妖星ゴラス』とは、1962年に公開された東宝特撮作品。地球に怪星ゴラスが衝突すると知った人類が地球を動かして回避しようとする物語。トドに似た怪獣も登場する。
〇 光速度不変の原理とは、光の速さは一定であること。もちろん光=電磁波=電波であるから通信もこれに準ずる。ちなみに火星から地球までの到達距離は10分以上かかる。