えいざつき ~元映画ブログだったポエマーの戯言~

批評というよりも、それで思い出した事を書きます。そして妄想が暴走してポエムになります。

メテオ

お題「ゆっくり見たい映画」

ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]

  

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www.imdb.com

 

 今日のポエム

なんちゃってですまん

 

映画とはポエムです!ポエムとは映画でもあります。それでは大いにポエムちゃいましょう!

 

そして今回のキーワードは

 

もうやメテオよ!(ただのオヤジギャグ)

 

今回はネタバレよりも突っ込みつきの紹介モード。

 

勝手にショーン・コネリーシリーズの第四弾は本作だ。

 

ショーン・コネリーは世界的スターなので、日本でも主演作のほとんどがDVDやBDなどのメディアで販売されているが、その中でも数少ない未発売なのがコレだ。自分も昔にCATVで放送されたソースを今でも大切に持っているので観直す事ができるくらいだし。

 

その物語は火星軌道と木星軌道の間にある小惑星帯ステロイドベルトに存在する、ある小惑星に彗星が激突して、その破片がメテオ(隕石)となって一ヶ月後に地球に来襲する事が判明する。一番大きいのが地球に激突すれば、そこから巻き上がった粉塵で太陽の光は遮られ氷河期が起こるのは確実であり、文明の衰退は避けられない。そこでその人類最大の危機に当時は冷戦化にあったアメリカとソ連(現ロシア)の科学者どおしが協力して戦争で互いの領土を破壊するために地球軌道に打ち上げていた核兵器を積んだ衛星を使って、やって来るメテオを破壊しようとするが、という話になっている。

 

あと、当時はリアルなSFが売り文句だったけど、ぶっちゃけ科学的リアリティはゼロだ!

 

感想を先に言ってしまえば本作はなんちゃって大作だ。

 

なんちゃって大作とは、σ(゚∀゚ )オレ造語で、その意味はスケールの大きい内容なのに、そのスケールを描写するのに予算が足りていない作品群を指す。

 

簡単に言えば、ショボい!

 

それが、なんちゃって大作だ。

 

ちょっと付け足すと、その特徴は「スターはとりあえずいる」、「所々にいいところは見かける」、「でも、スカスカなところは本当にスカスカ」、「最後は主題歌・楽曲だけは印象に残る」。この四点がなんちゃって大作の共通だ。

 

後、「誰が何と言おうと俺は好き!」と言い切る物好きがたまにいるのも特徴。← 自分の事です。

 

それにこれらは必ずしも駄作ではない。物語とドラマはちゃんとしているのは多い。だけども、やっぱりショボい!ショボいがために評価は低い。だからなんちゃって。

 

なんちゃって大作で、自分がすぐに思い出すのは邦画の『さよならジュピター』(1984)だ。小松左京SF小説の映画化なのだが、太陽系を舞台にした壮大な物語なのにも関わらず製作費が10億円程度なので画が締まらずに、どう釈明しても、ヤッパリショボイ!

 

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さよならジュピター

これだけではなく、邦画では予算の足りなさから出来がイマイチな作品も多い。

 

映画が、「美は細部に宿る 」を表明している芸術とまでは大袈裟でも、少なくとも大衆を相手にしている商業美術なのはハッキリしているので、やはり細部をおろそかにすると白けが部分がノイズとなって作品全体を蝕んで感動が薄れるのは誰でも想像できる。

 

もっとも、そんな作品は邦画だけだとは限らない、ハリウッドでもそんな物はある、そんな代表作が本作だ。

 

もちろん、なんちゃって大作のフォーマットどおり、本作『メテオ』はショーン・コネリーをはじめナタリー・ウッドカール・マルデン、ブライアン・キース、ヘンリー・フォンダ、等々、公開当時の旬からもズレてはいたが、それなりにスターはそろえてはいた。だから一応は大作には入る。

 

それではどの部分がショボいのかといえば、小さいところは色々とあるが、一番は特殊効果がショボい。

 

実は本作には特殊効果のスーパーバイザー、日本でいうところの特撮監督がいない。一応名が入っているマーゴ・アンダーソンの前歴に特殊効果の実績はなく、おそらくは名前だけの立場だろう。つまり、手抜きだ。

 

その手抜きを象徴するのが次のシーンだ。序盤に太陽を通過する宇宙船なのだが、

  

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メテオ

おわかりいただけただろうか。(心霊番組風)

 

太陽に見立てたライトが、モロばれだということを!

 

万事こんな調子でスターの次に見せ場であるはずの特殊効果が恐ろしく酷い。ハッキリいえばチャチの一言だ。本当にこれで劇場公開にしてお金を取ったのかと疑いたくなるようなレベルの特殊効果なのだが。だが事実だ。

 

ようするに、プロの特殊効果スーパーバイザーを雇わなかったがために、こんな有様になったのだと推察するしかない。つまりギャラをケチったとしか考えるしかない。

 

実は本作はハリウッドのメジャーなスタジオで撮ったものではなく、アメリカン・インターナショナル・ピクチャーズ(A.I.P.)というアメリカ本国ではB級映画エクスプロイテーション映画を制作・配給を主流としていた映画会社で、B級映画の帝王と呼ばれていたロジャー・コーマンの作品を公開していたことで日本では名が知られているが、1970年代後半から、メジャースタジオが『ジョーズ』や『スターウォーズ』の大ヒットでA.I.P.が得意ジャンルに制作費&宣伝費の大金を使って作りだした、いわゆるブロックバスター商法&ショッピングと併設したシネコンの普及により、市場が狭まりメジャースタジオの様な大作を作ったが結局は上手くゆかずにA.I.P.は1979年に売却されてしまう事になる。つまり本作の劇場公開年にだ。おそらく当時後退局面にあったA.I.P.は予算の確保が充分ではなかったが契約上の納品ためだけに本作を作ったと考えるしかない。

 

 つまり本作はそのあがきの後がそのまま表れているのだ。

 

監督のロナルド・ニームはコッポラやリンチみたいな尖ったセンスを持っている訳ではない手堅い職人監督だ。プロデューサーが制作の全権を握っているシステムなら、その下で充分に腕を振るうことができたのだろうが、肝心のトップがガタガタでは、最初に構想していたイメージからはかなり離れていったことは推察できる。

 

たから、その背景を考慮すれば本作のなんちゃってな部分も許せるかも知れない。

 

てな、訳がない!

 

今回は本作のダメっぷりを語ったがためにメインのショーン・コネリーについてはやらなかったが、ハッキリいってスターは華やかさのための顔見世で揃えられた状況なので、コネリーの見せ場はクライマックスのところしかない。

 

それでは特別に本作のショーン・コネリーの見せ場を貼っとくと……

 

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メテオ

ドロンコネリー!

 

お後がよろしいようで。

 

CATVで鑑賞。

 


Meteor (1979) - Trailer HD 1080p

 

 

 

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