えいざつき ~映画ポエマーの戯言~

批評というよりも、それで思い出した事を書きます。映画、SFが多めです。そして妄想が暴走してポエムになります。

【ネタバレ無】リアリティ?『スキャンダル』

お題「最近見た映画」

ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]

 

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www.imdb.com

 

実際にあったセクハラ事件を映画化。アメリカ保守層で人気を誇るテレビ局FOXニュースの元・人気キャスターのグレッチェン・カールソンが、性的強要を拒否したせいでクビになったとしてCEOのロジャー・エイルズを提訴した。元人気キャスターによるテレビ界の帝王へのニュースに、全世界のメディア界に激震が走った。そしてFOXニュースの看板番組を担当するキャスターのメーガン・ケリーは過去を思い出して苦悩し、メインキャスターを狙う若手のケイラはロジャーと対面したために同じ被害にあう……。

ジェイ・ローチ監督

 

ジェイ・ローチ監督の前作である『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』が好きで、主演にニーコル・キッドマン、シャーリーズ・セロンマーゴット・ロビーの三人がそろっただけで、自分にとってはもう勝ったような(?)この映画、最初に感想を言ってしまうと普通だな。

 

なのだが、『マネー・ショート 華麗なる大逆転』の脚本家チャールズ・ランドルフがこれも担当しているので展開もソレっぽいのだが、演出にヘンなクセがあって、アップに切り替わる時にそのままカットを割るのではなく、カメラをスッと動かすし、そのアップも大体が強張った表情が多い、そのために妙な緊張感が生まれて最後まで観ていられるのだが、どうしてそんな手法を使ったのか?最初はテレビ局が舞台だから、それっぽく撮っているのかな?と漠然と考えていたが、観終わってから10日過ぎてハタと気が付いた……

 

「これはリアリティ番組風に撮っているんだ」と。

 

リアリティ番組(リアリティーショー)とは、プロの役者やタレントではなく、素人を台本の無い(ある程度の設定やルールはある)状況に放り込んで、その素人か直面したリアクションを愉しむ。といった形式の作りになっている。誰もがすぐに思い浮かぶのがAmazonのプライムビデオで配信されているバチュラージャパンだろうし、日本はその手の番組の先駆みたいなところがあって、1970年に日本テレビで放送された、素人に悪戯して驚かす『どっきりカメラ』もそんな一例になる。今作『スキャンダル』はその形式を使って撮っているのだ。それなら原題の"Bombshell(爆弾)"の感覚とも合致する。

 

しかし、こんなクセの強い露悪的ともいえる手法をどうして採用したのかが分からなかったので、ちょっと調べてみたら納得がゆく答えがでた。

 

ニコール・キッドマン演じるグレッチェン・カールソンを主軸にしなかったのは、この事件がすでにテレビのミニシーリーズとして放送されて -- ちなみにカールソン役はナオミ・ワッツ -- いたので同じなってしまう。だからこれは使えない。

 

シャーリーズ・セロン演じるメーガン・ケリーはどうかといえば、彼女は後にFOXニュースを出た後、他の番組で白人が非白人を演じるブラックフェイスについて擁護する意見を述べて問題を起こしているので、彼女を主軸にしても共感は得られないだろうし、目をつぶってそれをやるにしても誰もが知っていることなので白々しくて難しい。

 

マーゴット・ロビー演じるカイラ・ポシュピシルはこの映画ために作られた架空のキャラだ。FOXニュースの特殊性の描写と性的被害にあったであろう女性達の象徴としての存在であるために主軸には難しいだろう。その代わりに彼女には観客のモヤモヤを晴らしてちょっとしたカタルシスを得る役割を与えている。

 

以上の3点がこの露悪的な手法を使った理由だろう。セクシャルハラスメント・性的被害を告発するMeToo運動の原点でもある、この事件はリベラルでも左派でもなく保守から始まった。という事実をドラマにするために、その込み入った部分を娯楽として描いているのだ。

 

でも、アメリカに住んでいるならともかく、日本に住んでいる自分など、そんな背景など知る由もないので、こんな感想になってしまったわけだ。

  

www.youtube.com

 

 

Bombshell (Original Music from the Motion Picture Soundtrack)

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  • 発売日: 2019/12/13
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

  

 

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