ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]
警官時代に愛する人が殺される事件を止めることができず、その苦悩を抱えながら生きる元警官の兼高昭吾(岡田准一)。警察は関東最大のヤクザ組織「東鞘会」への潜入捜査を彼に強要し、データ分析で相性98パーセントと判定された無軌道なヤクザ・室岡秀喜(坂口健太郎)とコンビを組ませる。東鞘会最高幹部の一人でもある土岐勉(北村一輝)が率いる東鞘会・神津組に潜り込むことに成功した二人は、抜群のコンビネーションを発揮。連絡係の衣笠典子(大竹しのぶ)の協力を得ながら、組織内でのし上がる。
シネマトゥデイより引用
今回はネタバレスレスレの解説モード
今回は核心に迫るネタバレはしていませんが、純粋に楽しみたい方には読まないことをお勧めします。
原田と岡田のコンビは今回もやってくれました。
面白かったです!
ヤクザを題材にしているものの、今回原田眞人監督が目指したのは明らかにフィルムノワールなのは一目瞭然だし、それは下手をするとかつての香港&現在の韓国のフィルムノワールのフォロアー作品になりかねないところを、岡本喜八作品の『暗黒街シリーズ』を思わせるリズミカルな編集で繋いでゆき、主演の岡田准一が考案したアクションが間を埋めていったためにそれなりのオリジナリティを担保して香港&韓国の真似事から脱却している。
それに痺れる。
もう、お前ら(原田&岡田)付き合っちまえよ!とか言いたくなる良い作品。
それが、本作。
巷では、「台詞が早口なので聞き取りにくい」とか「組織関係が複雑すぎてわかりずらい」などという批判があるが、原田作品ではそれはデフォ。デフォルト!
はい!いつもの。
原田作品は、そうゆう設定などはどうでもいいとまでは言わないが、キャラクターの心情描写と、それらのどうしの関わり合いを優先しているので物語を語る気は後回し。だから本作もそこだけに着目すればいいだけの話。
そこだけの視点で語れば、本作における岡田演じる兼高(出月)と坂口健太郎演じる室岡とは、サミュエル・フラーの『東京暗黒街・竹の家』エディとサンディとの関係なのは誰もが思い浮かべるし、自分もそう思っている。
だけども、それにさらに付け加えるなら、ラスト前のエピソードとラストの締めは、やはり、ロバート・アルドリッジの『ヴェラクルス』でのゲーリー・クーパーとバート・ランカスターからなのは間違いないだろう。キャラ設定が似ているし、ラストの締めは二人が出会ったシーンと被るし、クライマックスなんかはほぼマンマだからだ。
そして自分見立てた『ヴェラクルス』は銃で結ばれた二人の男が銃で別れるメロドラマ。だったが、本作はそれがマッドなんだけどもまさしくソレ。
マッドメロドラマ!
でも、本作は兼高と室岡のマッド相性98%からはじかれた兼高の残り2%も描かれるが、そこがアフリカ象と子ギャルなのは、まぁアレだ。いつものジャーナリストな原田作品だ。
ちなみに原田監督は『バウンス ko GALS』なんて作品も撮ってます。
元々、原田監督のバイオレンスは昔から評価は高かったので、本作が良いのは当然といえば当然なのだが、過去作に比べて目新しいのは、今までの原田作品はどちらかというと弟分の方が中心的だったのに対して、本作は主役が岡田だったので兄貴分を中心的だというところか。これも功を奏しているのかもしれない。
ようするに今回も原田と岡田のマッチングは見事にうまくいった。
もうお前ら…(以下省略)
劇場で鑑賞。