ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]
“悪魔の子”ダミアンに翻弄される人々の恐怖を描き、世界的ヒットを記録した名作オカルトホラー。アメリカ人外交官ロバートは、6月6日午前6時にローマの産院で生まれてすぐに死んだ我が子の代わりとして、同時刻に誕生した男の子を引き取りダミアンと名づける。ところが、ダミアンが5歳の誕生日を迎えた頃から周囲で不可解な事件が次々と起こりはじめ……。
映画.comより引用
今回はネタバレスレスレの懐かし解説モード
ひさしぶりにオーメンみたよ。(ド直球)
『オーメン』といえばフリードキン監督の『エクソシスト』大ヒット以降の乱立したオカルトホラー作品群の中で成功した作品であり、ぶっちゃけ二匹目のどじょうを掴むことができた作品になる。
そして、題材が題材にだけにその手のエピソードがそえられる「グレゴリー・ペックと脚本家(原作者デビッド・セルファー)が別々の飛行機に乗っていたにも関わらず落雷に遭遇した」とか、さらに「ペックが旅行をキャンセルした後に乗る予定だった飛行機が墜落した」だとか「監督のリチャード・ドナーはロンドンでテロにあったり、車にひかれた」とか様々な尾ひれがつくが、一番なのは「本作の特殊効果を担当した責任者が、次の作品で事故にあい、彼のガールフレンドがオーメンさながらの斬首にあった」だろう。
でもね今回は、そんなのはパス。今回は観直して気がついたことだけを書き添えておきたい。
本作はヒッチコック作品からの引用(応用)が結構にあってな。
また、それか。(セルフツッコミ)
ゴメン。(セルフ平謝り)
でもね、本当に多かったのよ。
実は自分は最初はそんなに評価していなかった。シリーズならコレよりも『2』が気にいってて、次に『3』で演出で本作が最後。不穏さを盛り上げて怖さ演出をするというよりも、ショッキングなシーンをいくつかやることでホラーぽい雰囲気を出してみたり、不穏さはジェリー・ゴールドスミスの楽曲にたよりぱなし。正直、二匹目のドジョウを運良く掴んだフォロワー作品くらいの考えしかなかったのよ。
ところが観直すと、ドナー監督の工夫が解るようになっていたし、センスが無くても努力でそれを埋める事はできるのだということ再確認した。まぁ、半年くらい経ったら忘れるだろうけども。
例えば、ダミアンとダミアンママが動物園のヒヒに襲われるところなんか、何の理由もなく、すべての鳥が襲う『ヒッチコックの鳥』…
だし、リー・レミック演じるダミアンママが高いところから落ちるシーンとかはクライマックスが自由の女神から頂上からの『逃走迷路』…
だし、何よりもダミアンに付き従う乳母は亡くなった前妻を宗教家のように信奉している『レベッカ』のダンヴァース婦人とどうしたってカブる。
-- ちなみに、これは余談と言う名の妄想だが、S・キューブリックはダミアンが自転車を漕ぐシーンから『シャイニング』でダニーがホテル内を自転車で散策するシーンをインスピレーションとしたのではないのか。
でも、その視点でみると本作を撮ったドナー監督の意図が理解できる。原作者であり脚本家でもあるセルファーはハッキリとアンチキリストを打ち出したかったのに対してドナーはそのへんを曖昧に描いた。これって、やっぱり愛する人が殺人者ではないかと妻が疑うヒッチコックの『断崖』からって事だから。
つまり、ドナーは最初から本作をホラーではなく、スリラーとして撮ったってことになる。そしてそれが功を奏してホラー映画ファンだけではなく、一般人にも受けての大ヒット&名が残る作品となったのは確か。
そして、この工夫が、当時のオカルト映画ブームから一歩抜きんでのも、また確か。
でも、個人的には『2』の「思春期の葛藤とアンチキリスト」のドラマや『3』の「ホラーアクション」コンセプトも今でも好きだけどもね。
DVDで鑑賞。