えいざつき ~映画ポエマーの戯言~

映画批評というよりも、それで思い出した事を書きます。そして妄想が暴走してポエムになります。

黒い牡牛

お題「ゆっくり見たい映画」

ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]

 

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www.imdb.com

 

貧しい農家に育ったレオナルド少年(マイケル・レイ)は母の葬式がすんだ晩、落雷で倒れた大木の下敷きで死んだ母牛の傍に生まれたばかりの黒い子牛をみつけ、家に連れ戻る。父親から、育ててもよいとの許可。闘牛用の猛牛の子にも拘らず“イタノ”と名付けられた子牛は少年によくなついた。だが、やがて姉マリアに父親からイタノは雇主である牧場主ドン・アレファンドロの所有だから烙印を押さねばならぬと聞かされ可哀相でならず学校の先生に頼んで牧場主に手紙を書いてもらう。イタノは遂に烙印を押されたが、牧場主は子牛を少年に任せると約束した。2歳を迎えたイタノは逞しく育ち、闘牛用猛牛のテストにも勇猛ぶりを見せた。だが、少年が2番の成績で学校を卒業した日、牧場主は事故で惨死。イタノは競買のうえ、メキシコ市の闘牛場へ送られることになる。その夜、少年はイタノを連出し、あてもなく山中に逃げ込んだ。木陰で眠る少年めがけて襲いかかった大山猫を、イタノはその鋭い角で突き伏せて小さな主人を守った。翌朝、探しにきた父親にこんこんとサトされた少年は、しかし何とかしてイタノを救おうと家出し、イタノを乗せたトラックに同乗してメキシコ市に向かう。

映画.comより引用

  

映画とはポエムです!ポエムとは映画でもあります。それでは大いにポエムちゃいましょう!

 

今日のポエム

ヒーローの資質

 

 

今回はネタバレスレスレの解説モード。

 

子供に見せたい映画。第二弾は本作『黒い牡牛』。

 

対象年齢は10歳から16歳くらいまで。

 

子供向け、家族向け作品なのは誰でも分かるよね?

 

だってジャンルが子供向けだとちゃんとラベリングしているし、それを証明するかのごとく主人公レオナルド少年を周りの大人達がとても良く助けてくれるしクライマックス前には大統領(顔無し)さえも少年の願いを聞き遂げてくれるという善意の世界なのだから。

 

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黒い牡牛

自分のようなドス黒い感情も淀ませている者から見れば、まさに甘ちゃんのぬるま湯な世界。でも子供向けならそれも納得するしかない。

 

でも、本作はそれだけでは無い。

 

映画とは何を描かないか何を省略するかが、逆に何を伝えたいのかが見えてくるところがある。それはもちろん本作にもある。と言うよりも良い作品とはそんなところがちゃんとあるものだ。

 

これがダメなヤツだと説明的になろうとしてクドクド描かいてしまうし省略もしない。なのでやたら感動的な楽曲や説明セリフなどを使ってしまう。なのでどこか冗長になる。

 

だから本作が忘れ去られた他の子供向け作品と違って今でも語られるのはそんな事だ。

 

でも、その前に作品の背景を少しばかり語ってみたい。そうすれば、あの展開と善意の人々が何なのかの輪郭がうっすらと分かるから。そしてそれは本作の舞台となっている当時のメキシコの姿も映し出しているからだ。

 

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黒い牡牛

今ではメキシコは麻薬戦争で危険な社会状況だが本作が舞台となった1950年から代1970年代はじめの頃は豊富な石油資源と安定的な文民統制で「メキシコの奇跡」と呼ばれた経済成長をしている時期で、1968年にオリンピックも開かれていて、つまりメキシコが輝いていた時代。

 

だから本作は当時のメキシコシティも見せ場となっている。

 

そして脚本はロバート・リッチことドナルド・トランボ。

 

そう赤狩りで映画界のメインストリームから追放された者。

 

にもかかわらず己の腕一本でその苦境の時期を乗り切った人物でもある。その彼の心根というべきモノが本作にはある。

 

それはオープニング、少年レオナルドと小牛イタノとの劇的な出会いで、この二者の結びつきは尋常ではないことをそれとなく観客に教え、レオナルドとイタノを引き離そうとする様々な苦難に立ち向かいクライマックスではメキシコ一の闘牛士と正々堂々と闘うイタノの間に割り込むレオナルドの姿と重なるものだ。

 

もうひとつ付け加えるのならスペイン文化の影響を受けているメキシコでも闘牛士は英雄と同じというよりも英雄そのもの。その闘いの間に入るとはどうゆう意味なのか?

 

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黒い牡牛

結論はレオナルドは英雄(ヒーロー)だと言っている。

 

レオナルドは英雄の資質を持っている者なのだ。

 

その資質とは、諦めない心。つまり「不屈」だ。

 

どんな困難にも挫けずに立ち向かう「不屈」の心を持っている。それが英雄。

 

その視点から見れば英雄誕生に必要な要素である、周りの大人達との出会いは「旅」のイメージであり、そしてあの顔無し大統領とのシーンは「王との謁見」のイメージを連想させるのは容易いだろう。

 

まさに子供向けにはよくある展開とメッセージ。それが本作。

 

そして、それはトランボが書いてきた作品とも繋がる。

 

もしも、子供にヒーローがアニメや特撮などの架空でなく本当に存在するとしてそれはどんな姿なのか?と聞かれたら本作を観せれば良いだけだ。直ぐには分からなくても年をとるごとにそれは染み込み熟成してゆくものだから。

 

でも唯一の弱点は子供向きにもかかわらず本作には現在吹替版か無いので子供には敷居が高いのではないのかという不安だ。

 

そこんところどうにかならなかったのか?

 

プリキュア声優での吹替版を求む。

 

今回はこんな感じ終了。

 

DVDで鑑賞。

 

 

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