ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]
さえない天文学者ランドール・ミンディ教授(レオナルド・ディカプリオ)と教え子の大学院生ケイト(ジェニファー・ローレンス)は、あるとき地球衝突の恐れがある彗星(すいせい)の存在に気付く。二人はオーリアン大統領(メリル・ストリープ)とその息子であるジェイソン補佐官(ジョナ・ヒル)と対面したり、陽気な司会者ブリー(ケイト・ブランシェット)のテレビ番組に出演したりするなどして、迫りくる危機を世界中の人々に訴えようと奮闘する。しかし二人の熱意は空回りし、予期せぬ方向に進んでいく。
シネマトゥデイより引用
映画とはポエムです!ポエムとは映画でもあります。それでは大いにポエムちゃいましょう!
今日のポエム
バカばっか……
今回はネタバレスレスレの褒めモード。
去年取り残した宿題を書いておこう。
だって観たのが去年もギリギリで感想を書く暇もなくベストに入れちゃったからな。
本作は人類滅亡を風刺として協奏(あるいは狂奏?)的に描いた作品だが、スラップスティックなお笑いになっている。
というよりも、ずばりバカ映画だ。
レオナルド・ディカプリオ、ジェニファー・ローレンス、ケイト・ブランシェット、ロブ・モーガン、メリル・ストリープ、ジョナ・ヒル、ティモシー・シャラメ、アリアナ・グランデ、タイラー・ペリー、ロン・パールマン、マーク・ライランス。
等々のオスカー級俳優陣がバカ演技を繰り広げているのが本作。
だから、批評家受けは良くない。あのロッテトマトがこんな感じ。
Don't Look Up - Rotten Tomatoes
だって本作は風刺にありがちな品が無い。
ズバリ下品。バカは品がない!
それが本作。
これに近いのが、『マーズアタック』(1996) なのだが。『マーズ』はどこかに冷めた批評的な視点があったのに対して本作にはそうゆうのが無い。それがインテリの教養に共感できるところがなくて、この低評価に繋がっているのだろう。
でも、そこがいい。
すごくいい!
個人としては、小説家筒井康隆の初期作品『霊長類南へ』を思い出してニンマリとしてしまった。実際に本作のノリはそれに近い。
それにどうやら監督はインテリのため。というよりも大衆に向かっているのは明らかで、クライマックスになるとラース・フォン・トリアー監督『メランコリア』(2012) を思い出させるような緩やかな締めへともってゆくので、本作を撮ったアダム・マッケイ監督の前作『バイス』(2018) や前々作『マネー・ショート』(2015) とやっているのは同じ。
だから本作最大の見所は ディカプリオやシャラメやローレンスやブランシェットの裸ではなくて、政治のトップであるメリル・ストリープと経済のトップであるマーク・ライナンスの裸だ!つまりケチョンケチョンにバカにしている。その意図は明白で。
お前ら支配者層の言いなりになると、こうなるぞ!
と、いうヤツだ。
英語版Wikipediaによると、元々は気候変動を題材にして脚本を書きはじめたが、上手くまとまらずに隕石にしたそうだが、-- だから、ココで描かれている学者らの焦燥感は気候変動を研究している者からは共感を得ている -- そのためかアメリカだけではない普遍性も得ている。ソ連(現ロシア) のルイセンコ学説やチェルノブイリ。中国の大躍進政策や文化大革命。そしてついでに日本の新型コロナ対策と、専門家等の意見を無視して成果だけを求めても必ずそれは破綻する。そしてその被害を被るのはいつも大衆なのだという現実。それを描いている。
そうゆう意味では、お前らはこんなバカにはなるな。という、単純なメッセージだ。
VODで鑑賞。