[敬称略]
こんな記事をみつけました。
安保理が北朝鮮非難の声明 米当局、軌道上に物体を確認 - CNN.co.jp
これを機に「核兵器と映画について」かいてみたいと思います。というよりも、核兵器の中を描いた映画を思いだしてみました。
まずは核兵器の基本から
核兵器の原理 - nifty
かなり乱暴にいうと、周りを被っている爆弾が爆発→そのエネルギーが中心にある原爆を急速に臨海を加速させて、原爆が爆発→原爆の爆発したエネルギーが原爆を被っている核融合物質を急速に加圧・加熱させて→核兵器の爆発になる。
ちなみにロケットとミサイルの違いは少しややこしい。
ミサイルとロケット - BIGLOBEなんでも相談室
弾道飛行 - Wikipedia
ニュースでの説明の図表だとゆるくカーブを描いているが、そのカーブを弾道飛行と呼ぶ。大陸間弾道ミサイルといわれているのがソレで、それとは別に軌道にとどまるロケットとは違う。ニュースでは一段、二段と言っていたから、今回は通告どおりロケットだ。
ミサイルとロケットは軍事からみれば別のモノなのだが、技術からみれば ロケット=>ミサイル で、太平洋を超えて破壊をするミサイルにはロケットの技術とそのデータが必要で、「後でミサイルに使えるから今はロケットを造る」なのだ。だから、アナウンスがロケットの発射を「事実上の弾道ミサイル」としている訳なのだろ。
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さて本題。
核兵器とテロリズムを描いた最初の映画はおそらくは『太陽を盗んだ男』 (1979) だろう。
最初の評価はいわゆる社会派サスペンスまたはアクションだろうが、違和感を抱くものもいて当時の映画評論家の大黒東洋士(おおぐろ とよし)はその傷を厳しく批判していた。そして当時としてはリアリティがあったのかもしれないが現在では「あれは無理ではないのか」という指摘もあるし、それは間違ってはいない。しかしこの映画の熱烈なファンは今でも数多くいる。
そして自分の見立てはこの映画は「核のテロ」を描いたものではなくて「ピュグマリオンコンプレックス」だと考えている。「自分のつくったモノに恋をして破滅してゆく」過程がそのまま描写されていたからだ。菅原文太が演じる刑事はさしづめ “子供を叱る親” だろう。そう考えなければ後半の「もしかしてそれギャグ?」としかみえない追跡シーンの意味が見出せないからだ。そして、それを露骨に出さないためにあの設定にしたのかも。
次に核兵器の起爆部分をさりげに描いていたのは『第四の核』 (1986) だ。
今にして思えばハリー・パーマーとジェームズ・ボンドの揃い組みという「うれし懐かしい」感じだが、演じるピアース・ブロスナンは冷酷(そしてエロい。隣の奥様も同志もメロメロである)なソ連の工作員だ。現在の彼しか観ていないと「こんな役もできるんだ」と思うだろう。
その原爆を米軍基地の近くで爆発させてNATOの分断を謀る。というのがストーリーだが、それがバレるのは原爆の起爆部分 --おそらくは中性子起爆装置-- が見つかったからで、それが後の落ちへの布石にもなっている。ようするに権力闘争の落ちなのだ。
最後は『ピースメーカー』 (1997)
ロシアで奪われた核弾頭がニューヨークを危機に陥れる。発足したばかりの会社ドリームワークスの記念すべき第1作目がこの映画。背景には当時アメリカには関心の薄いユーゴ紛争を題材にしており自分にはもしかして関心を向けさせるために作ったのでは?と思わせた。そしてキッドマン演じる分析官の決断の苦悩やクルーニー演じる軍人の冷酷さも描写しており単純な勧善懲悪モノにはなってはいない。
クライマックスで出てくる核弾頭は --おそらく高出力兵器-- でキッドマンがナイフで取ったのは起爆剤のひとつ。つまり威力を減らすことで核爆発が起こらない状況になっている。でも汚染は大丈夫なのか?
ちなみに今回の発射についてはここを参考にすればよいかと。
宇宙クラスタ・軍事クラスタによる北朝鮮衛星打ち上げの分析のまとめ - togetter
自分の考えを書けば、もしあの国のロケットが本当に軌道に複数回に乗ればそのたびに危機は高くなるが、現在は「がんばってます」レベルなので「ひとまずは安心」かと。もちろん危険性は大問題なのだけど。