えいざつき ~元映画ブログだったポエマーの戯言~

批評というよりも、それで思い出した事を書きます。そして妄想が暴走してポエムになります。

ゴジラ−1.0

ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]

ストーリー

舞台は戦後の日本。戦争によって焦土と化し、なにもかもを失い文字通り「無(ゼロ)」になったこの国に、追い打ちをかけるように突如ゴジラが出現する。ゴジラはその圧倒的な力で日本を「負(マイナス)」へと叩き落とす。戦争を生き延びた名もなき人々は、ゴジラに対して生きて抗う術を探っていく。

スタッフ

監督・脚本・VFX:山崎貴
製作:市川南
エグゼクティブプロデューサー:臼井央 阿部秀司
企画:山田兼司 岸田一晃
プロデュース:山田兼司 岸田一晃
プロデューサー:阿部豪 守屋圭一郎
ラインプロデューサー:櫻井紘史
撮影:柴崎幸三
照明:上田なりゆき
録音:竹内久史
特機:奥田悟
美術:上條安里
装飾:龍田哲児
衣装:水島愛
ヘアメイク:宮内三千代
音響効果:井上奈津子
VFXディレクター:渋谷紀世子
カラリスト:石山将弘
編集:宮島竜治
選曲:藤村義孝
音楽:佐藤直紀
助監督:安達耕平
キャスティング:杉野剛
スクリプター:阿保知香子
制作担当:横井義人
プロダクション統括:會田望

2023年製作/125分/G/日本
配給:東宝

映画.comより引用。

 

今回はネタバレスレスレの誉め解説モード。

 

注意:今回は核心に迫る内容には言及していませんが、純粋に楽しみたい方には読まない事をお薦めします。

 

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画像

 

許す!

 

とまぁ、色々ツッコミたいところはあったけども、アレをやられたら許す!しかないじゃない。

 

でも、その前にツッコミどころを語っておこう。

 

本作を撮った山崎監督は監督・脚本だけではなくVFXも手掛ける万能さなのだが、自分にとっての評価は、面白い画づくりはするけどドラマ作家としては「詰めが甘い」。になっていて、今回もこんな感じ。

 

その、本作の詰めの甘さだが、終戦直後の東京で神木隆之介演じる主人公と浜辺美波演じるヒロインが一緒に生活するのだが、性的な関係にならないなんてどう見てもヘン。

 

ゴジラ‐0.1 (画像は映画. com)

お前らはコメディ漫画のカップルかよ!

 

馬鹿なんですか。(マイゴジ風)

 

実は本作の主人公は戦争中のゴジラと遭遇したことで、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を追っている設定らしいのだが、そこを押すことで、具体的には性的不能・インポテンツな描写をすることで、もう少し説得というか納得することもできたのに、そうもせずただ悪夢に悩まされるカットを入れているだけで、後は言葉にすれば伝わるだろう、と言わんばかりのセリフの応酬で、正直どーにかならんもんか。と。

 

ちなみにインポテンツは現在では差別用語なので使ってはいけないが、本作では米兵相手の娼婦の呼び名に、これまた現在では差別用語になっている「パンパン」を使っているので、だったらこっちの方も使ってみればよいものの。とは思った。

 

どーにかならんもんか。ゴジラの恐ろしさ・凄さを伝える際、ココでは吉岡秀隆演じる学者に実況放送的にペラペラと喋らしているのでサスペンスが上滑りぎみになっている。なのでメッセージがあっても重く感じない。というか正直言って軽い。

 

どーにかならんもんか。にもう少し付け加えるなら、本作のヒロインは主人公にとっては慰撫するためだけに設定された存在で、キャラが薄い。これも詰めが甘い。

 

とまぁ、これだけじゃないのよ。

 

実はゴジラを抜いてしまえば、本作はかつてはたくさんあったであろう戦争メロドラマでしかないのだ。ズバリ、古臭い、もとい、古風すぎる。

 

かくのごとく詰めが甘いので、ハッキリとフルユア演出なのだが、でも、このフルユアさの特徴というか悪癖が「見たいもの見せて感動させてくれる」と期待している観客こと大衆とのシンクロ率とが合致すると上手い方に転がるのが山崎脚本&演出。

 

具体的な当たりが『ALWAYS 三丁目の夕日』。

 

外れると、『ドラゴンクエスト ユアストーリー』になるけどな。

 

評判を聞く限り、今回は上手い方に転がったみたいだ。

 

自分はダメだったが。

 

しかし自分はこの本作を「許す!」とした。以下はその理由。

 

ゴジラの倒し方の斬新さ。

 

ゴジラといえば、どんな銃撃や爆発でも無傷という鉄壁ともいえる外皮をまとっているのだが、本作ではそれが仇となって自身を滅ぼす弱点となっている。

 

正直に言って感嘆した「その手があったのか!」と。

 

そんなシンプルな方法でゴジラを倒すなんて考えもしなかったが、確かにあの外皮なら充分に可能性がある。

 

いや、参りました。

 

〇旧日本軍兵器の大活躍

 

いや、時代設定がそうだったし、主人公が特攻隊上りの設定だったので、ロケットエンジン搭載の<桜花>は出るだろうなと予想していたが、そうではなくて、後部プロペラ機の高速戦闘機<震電>が登場。大戦中に実戦に出ることが叶わなかった機体がゴジラに立ち向かう。

 

その手があったか!その二。

 

そして、前述した作戦を駆逐艦雪風と響が行うのだ。

 

ヒャッホー最高だぜ!(歓喜)

 

これで許さなかったら嘘だろ。

 

この二つで充分に元は取れた。

 

えっ、銀座のシーンはって?いやドーデモいいです。

 

でも、これらとは対象的に中戦車(四式?)の扱われかたが雑過ぎて苦笑しちまったわ。山崎監督は陸軍よりも海軍贔屓だなw

 

と、こんな感じに落ち着いたのだった。

 

ちなみに、本作のゴジラは1946年のビキニ環礁で行われた初の水中下での核実験クロスロード作戦から誕生したことになっていて、ソイツが銀座を襲うのだが、その時日本では東京裁判の只中で、そりゃあGHQも政府も対処できる状況ではないな。

 

そして、史実では三年後の1950年国を分断する朝鮮戦争がはじまるわけだが、ゴジラへの対応次第では、それが早くなる可能性もあり、そのために日本の戦後復興が遠のくは確実なので、あの時代設定は結構ギリギリで、『シン・ゴジラ』みたいなシミュレーションでやるよりも、やはりメロドラマでやるのが最適解なのだろうな。(マイゴジ風)

 

劇場で鑑賞。

 

 

 

 

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