ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略]
『七人の侍』について思うところを書いてみたいと思います。
午前十時の映画祭7 「七人の侍」4Kデジタルリマスター版上映記念トークショー
日本どころか世界中に名を知られている名作だし、語りつくされている感もあるので今さらレヴューなんておこがましいので本当に個人的な気持ちだけです。
今回の4Kデジタルリマスター版は2回観たのだけど、最初は妙な違和感を感じたので少し調べてみたらすぐに違和感の正体は分かった。自分は90年に公開されたのを観ていたのだがそれは1954年(昭和24年)では無かったこと。そしてこの気持ちをTogetterまとめにまとめた。
荒島晃宏は映写技術者として書籍も著している。
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自分が『七人の侍』を観た90年のリバイバル版は実は1954年に公開されたソレではなかった。自分はてっきり画質と音声だけが手を加えられていたものだと思っていたから。それではあの時に自分が感動したのは何だったのか?
クエンティ・タランティーノ監督『ヘイトフル・エイト』は70mmフィルムで撮影されてアメリカでは70mmで公開されたが日本ではそれをできる設備がないためにフルスクリーンでも上下が狭まったバージョンを公開していた。だから『ヘイトフル・エイト』を語るとき「面白いつまらないを語るには完全版を観なければいけないのではないのか?」の気持ちがあったし……
『ゼロ・グラビティ』は「やっぱり3Dでしか楽しめないよね」の気持ちもある。あの映画はリアリティだけでみるとツッコミどころがありすぎる。それでも3Dでみると迫力と同時にドラマとしてもとても優れた映画だと分かる。3Dで観ると主人公の「孤独」が説明や理屈なしに分かるのだ。
『アラビアのロレンス』もスタンダードサイズのテレビ画面で観るよりも映画館で観たために考え直した映画だった。あれは映画館のスクリーンでみると迫力と同時にドラマとしての素晴らしさが迫ってくる。史実はどうでもいい、感動がある。
今回の『七人の侍』は54年に一番ちかい形らしい、つまり「公開当時に観客がはじめてみたあの感動と近い感覚」を自分は今回で共有できたのかもしれない。
それとは別に、だったら90年に観た『七人の侍』の感動は何だったのか?の気持ちも少しばかりあるのだ。あれは何だったのだろうかと?ニセモノではないのは分かるのだけれども……
そんな難しく考えずに単純に「観ている自分も変わった」(成長したとは恥ずかしくていえない)と思えばよいし、映画にも茶道の一期一会の考え方が通用するのかもしれない。
そんなとりとめのない考えをあえて今回は書いてみました。
余談:おせっかいながら、あまり関係の無いと考えているアニメやライトノベルのファンも一度くらいは『七人の侍』は観ておいたほうがよい。なぜなら「ヒロインのオッパイを掴む」はおそらくこの映画からだろうから。